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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2010.04.12]

バレエ・リュスゆかりの『火の鳥』、そして『ショパン賛歌"憂愁"』を上演

佐々保樹 演出・振付『火の鳥』
菊地唯夫、菊地宗 作、酒井正光 再振付『ショパン賛歌”憂愁”』
東京小牧バレエ団
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東京小牧バレエ団がショパン生誕200年を記して『ショパン賛歌”憂愁”』と、バレエ・リュスゆかりの『火の鳥』を上演した。『ショパン賛歌”憂愁”』は、小牧正英の実弟、菊地唯夫と菊地宗が1990年に創った舞台の再演。『火の鳥』は、小牧正英の演出・振付で1954年に日本初演している。

『ショパン賛歌”憂愁”』は、ショパンを想起させる放浪の青年を主人公に、森の幻想の中に望郷の強い想いを描いたシーン、それからかつての許嫁と偶然すれ違う夜会のシーンで構成されていた。
終始ショパンの曲の演奏を流し、ピエロとコロンビーヌとアルルカンによる『早春譜』を劇中劇でみせるなど、工夫を凝らした演出で青年の”憂愁”を浮き彫りにしている。青年を季波、許嫁マリアを周東早苗が情感を醸して踊った。

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『火の鳥』は、小牧正英の振付でノラ・ケイが火の鳥を踊り、日劇で日本初演され、24日間もロングランしたという。今回はその舞台に立った経験を持つという佐々保樹の演出・振付による再演である。
火の鳥にはクラシックからコンテンポラリーまで幅広い役柄を踊って活躍している酒井はながゲスト出演した。イワン王子は東京小牧バレエ団にもしばしばゲスト出演しているカナダ出身のエンバ・ウィルスが踊った。ほかにはツァレーブナに田所いおり、カッチェイには堀内慎太郎、カッチェイの娘には長者完奈、カッチェイの息子にはアレクサンドル・ブーベルが出演している。
酒井はなの火の鳥の踊りは、活き活きとしていて表情豊か。ロシア民話の独特の世界が生命を得て甦ったような印象を与えた。
20世紀の初頭を彩ったバレエ・リュスの遺産が、上海を経由して日本に至っている。遥か昔、ギリシャの文明がシルク・ロードを通って日本に辿り着いたように、美しい文化が時空を越えて受け継がれていることはたいへん喜ばしい。
(2010年3月6日 新宿文化センター大ホール)

撮影:飯田耕治(スタッフ・テス)
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