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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2008.09.10]

牧阿佐美バレヱ団『ロメオとジュリエット』を日生劇場で上演

  日生劇場が毎夏に催している「日生劇場国際ファミリーフェスティバル」は、15周年を迎えて、牧阿佐美バレヱ団の『ロメオとジュリエット』を上演した。 夏休みの家族向け公演ということで、観客は子供たちが圧倒的に多い。これだけ子供たちが劇場に集まってくるのを見ると、バレエの将来が明るくなったような 気がして楽しくなった。

 開幕前に牧阿佐美バレヱ団総監督の三谷恭三がバレエの内容を簡単に説明、出演するダンサーも紹介されたが、マキューシオ役が清瀧千晴に変わっていた。
牧阿佐美バレヱ団の『ロメオとジュリエット』は、アザーリ・プリセツキーと牧阿佐美が演出・振付けた作品。若い二人の愛の悲劇をドラマティックに描いている。
特に最後の墓場のシーンでは、薬によって仮死となって葬られたジュリエットを死んでしまったと思い込んだロメオは、毒薬を呷った。するとジュリエットが 甦り、意識がうすれていくのロメオの目に映る。ほんの一瞬、二人は再会を果たすが、ロメオはたちまち息絶え、ジュリエットも彼を追って短剣を胸に突き立て る、という鮮烈でドラマティックな演出になっている。
ジュリエットに扮した伊藤友季子が、父親からパリスとの結婚を迫られるシーンやロメオのために神父からもらった仮死状態になる薬を思い切って飲み込む シーンなど、気持ちを大胆に、しかし繊細に表現して素晴らしかった。ロメオの逸見智彦、ティボルトの菊地研、マキューシオの清瀧千博、パリスの京當侑一籠 などのソリストたちも落ち着いて堂々として演技を見せた。
子供たちもこの悲しい物語を、息を呑むようにしてじっと舞台を見詰めていた。
(2008年8月22日、日生劇場 ※写真は21日ゲネプロより青山季可と森田健太郎)