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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2008.03.10]

創立60周年を迎えた松山バレエ団の新『白鳥の湖』

松山バレエ団が、新『白鳥の湖』公演をNHKホールで行った。創立60周年の公演ということもあってか、ロビーでは、創立者の松山樹子の舞台映像が放映されたり、松山バレエ団の60年史の年表が掲示されたりしていた。
松山樹子の映像は、『白毛女』『バフチサライの泉』『金鶏』などとともに『祇園祭』など日本の題材を扱った創作バレエもあり、たいへんに興味深かった。この松山バレエ団の伝統は、今日まで引き継がれてきている。

清水哲太郎版の新『白鳥の湖』は、この物語の歴史的な時代背景が具体的に描き込まれていることが特徴。
特に、通常、第3幕は単なるデヴェルテスマンが踊られるが、清水哲太郎版では、ジークフリート王子の花嫁候補たちはそれぞれの国のお付きの者を従えて登 場し、彼女たち自らがソロを含むヴァリエーションを踊る。花嫁候補の国は、イングランド、東方のスラブの国、フランス、スウェーデン、デンマーク、ポルト ガルと想定されている。
ロットバルトは、ジークフリートの玉座を狙う野心を秘めた貴族で、実際に、魔術的な策謀を弄して、即位したばかりのジークフリートの王冠を簒奪するところまで至る。しかし、ロットバルトの陰謀は、ジークフリートとオデットの絶対的な愛の無垢の力によって元の鞘に収まる。
最後は、ロットバルトとジークフリート、オデットの凄絶な戦いが繰り広げられるのだが、<ロマンティックな物語>を象徴する湖は見えない。
森下洋子のオデット、オディールは見事。細部に至るまで気持ちがこもっており、終始、余裕を保った踊りだった。
(1月24日、NHKホール)

森下洋子、清水哲太郎森下洋子、清水哲太郎