ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2007.08.10]

BROADWAY'S BIG FAT MUSICAL COMEDY 『ヘアスプレー』

 ブロードウェイ・ミュージカル『ヘアスプレー』は、『ピンク・フラミンゴ』などで知られるカルト映画の奇才、ジョン・ウォーターズが88年に監督した同名の映画をミュージカル化したもの。
悪趣味映画で鳴らしたウォーターズ監督の『ヘアスプレー』をミュージカル化すると発表した時、周囲は仰天したが、2002年に幕を開けてみると大ヒッ ト。03年には、トニー賞8部門を受賞した。2000回以上も上演された現在も、ブロードウェイと全米各地で上演中である。
『ヘアスプレー』は、世界的に大流行したツイスト発祥の地、ボルチモアを舞台にして、60年代の音楽とダンスでフル装備したミュージカルである。
物語は、ちょっとおデブだけれど、ダンスが大好きで天真爛漫な可愛い女子高校生トレイシーが、大人気のテレビ番組「コニー・コリンズ・ショー」のオー ディションを受ける。一度は失敗するが、知恵をしぼってテレビ出演に成功。一躍、街の人気者になって、差別問題などの様々な難問と闘い、やがては愛と自由 を獲得する、というもの。
60年代を原点として、"太め"というコンプレックスを抱える女子高校生が、自分の夢をかなえるために、社会的差別をも吹き飛ばして邁進していく。その プロセスで60年代の明るく陽気なポップスと躍動感にあふれるダンスが、主人公の感情を解放してエキサイティングな感動をもたらしている。アメリカ的な愛 と自由をビートで表現するミュージカルである。
休憩時間には、ダンス教師が観客全員に簡単な振りをレッスンする。そしてラストシーンでは、出演者とともに観客が教えてもらった振りで踊る。それがまたとても楽しくて、舞台と客席が一緒になって大いに盛り上がった。
まさにビートは誰にも止められない。それは地球の鼓動だから。
(7月20日、オーチャードホール)