ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2006.08.10]

驚異! アクロバティック『白鳥の湖』

 中国の鳳凰は想像上の鳥だそうだが、想像を越えるような凄い「白鳥」は上海から東京に舞い降りた。場所は、英国のマシュー・ボーン版『白鳥の湖』で空前の大ヒットを記録したオーチャ-ドホール。
舞台は、チャイコフスキーの音楽とプティパが振付けた『白鳥の湖』に準じた4幕構成だが、すべてが曲芸とマジックで綴られていく。マイムもほとんど使わ れていない。さすが中国、と思わせるほど曲芸やマジックが次々と怒濤のようにくり出される。一輪車乗り、ボールマジック、綱渡り、空中ブランコ……その他 にもとても憶えきれない技のオンパレードだった。

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オデットに扮したウ・ジェンダンの股関節は自由自在に動く。両脚は何の苦労もなく、250度くらい開いてしまうのではないか。彼女の身体には針のように 鋭い軸が、寸分の狂いもなく貫通しているので、どんなところでもポワントで立てる。ジークフリード王子に扮したのはウエイ・バォホア。ジェンダンは彼の肩 や掌の上では、軽々とポーズを決める。驚異的な柔軟性である。
白鳥が捕らえられている湖の背景画は深山幽谷の墨絵風で、ロットバルトのコスチュームは閻魔大王のように見えるのだが、マジックは実に上手い。
騙されて誤ってオディールに愛を誓ってしまったジークフリート王子は、、頭のテッペンで、オデットのポワントを支えて、再び信頼を得ることに成功、ロットバルトを打ち負かす。すると百花繚乱の極楽浄土が現れて、オデットはチャイナドレスの人間に戻る。
政治的自由については知らないが、股関節の自由度は中国が世界一である。ジェンダンのオデットは典型的な上海小顔姐だし、会場でアンケートに答えると上海グッズが無料で貰えるコーナーもあり、観客は大満足だった。
(7月29日、オーチャ-ドホール)


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