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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2006.08.10]

『コンチェルト』ほか二作品、小林紀子バレエ・シアター

  近年、ケネス・マクミラン作品をしばしば上演している、小林紀子バレエ・シアターがショスタコーヴィッチ曲の『コンチェルト』を初演した。1957年に作 曲されたショスタコーヴィッチのピアノコンチェルト第2番 へ長調の透明で明晰な曲に、クラシック・バレエの革新を目指していたマクミランが、1966年に振付けたもの。
この年、マクミランが芸術監督に就任したベルリン・オペラ・バレエ団への最初の作品である。
作品は三つの楽章に分けられていて、第1楽章は速いテンポのパ・ド・ドゥを中心に男女のグループが交錯するムーヴメント。第2楽章はしっとりとした曲調 で踊るパ・ド・ドゥ。島添亮子の柔らかいダンスが目を惹いた。第3楽章はリズミカルで明るい曲にのせた大かかりな構成のダンスである。

『コンチェルト』
 コントラストの鮮やかな三つの楽章に、流れるような美しいダンスが展開された。ただ全体的には、振りをなぞっているような印象もうけた。もっと思い切ってアッピールするように踊ってもいいのではないだろうか。

昨年に続いて再演された『The Invitetion』は、マティアス・セイバーの音楽により、1960年にマクミランが振付けた作品。少女の性的関心から、少年との出会い、周りの人々 の好奇心と揶揄、倦怠的な大人のカップルとの関わり、そして自身の中に突き上げてくる衝動、などを経験して大人になっていく姿を描いている。
今日観ると、60年代的な、現実を取り繕っている人々の心の深奥を暴く、といった印象もうける舞台である。島添がナイーブな少女の痛々しさと明るい楽天的な姿をうまく表現していた。
そのほかに、ニネット・ド・ヴァロアの『チェックメイト』も再演された。
(7月16日、新国立中劇場)


『The Invitetion』

『チェックメイト』