ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2006.08.10]

『Dance × 平山素子』渡辺晃一個展のダンスパフォーマンス

 造型作家の渡辺晃一は、3次元計測機器3-Dデジタイザ<Danae(ダナエ)>を使って、人体の作品制作を行ってきた。渡辺が<Danae>のデジタル画像により、ダンサーの平山素子をモデルにしたインスタレーションを発表。
平山素子が、その等身大の人口樹脂作品が展示されている画廊で、パフォーマンスを行った。ちなみに、3-Dデジタイザ<Danae>は、撮影の際に、黄 金の光を発することから、ギリシャ神話の女神ダナエと名付けられた。また、ダナエの神話は、「男の子は授からず、孫に殺される」という神託を受けた王が、 一人娘のダナエを青銅の扉の付いた塔に閉じ込め、男と出会わないようにした。しかし、ダナエの類い希な美しさのため、ゼウスは黄金の雨の雫に姿を変えて忍 び込み、ダナエと交わる…、というもの。

まず、平山の等身大の樹脂像が見事。淡いベージュのポーズをとった平山の姿がそのままあるのだが、その軽さ、重力を感じさせない存在感が、「シルフのよ う」といったらいいのだろうか。目にはダンサー平山素子の姿体の像が見えるのだが、客席でダンスを目を閉じて体感している時のような感覚が身体に生じる。 存在を感じる時にはあまり意識してはいないと思うのだが、目に形として見えない重力をしっかり感じているのだ、ということを改めて理解した次第。
その等身大の平山の樹脂像と、ダナエを踊るダンサー平山素子が絡み合って、緊迫した空間が生まれる。密室に閉じ込められたダナエの身体と生命の躍動が交 錯。黄金の雨の雫が滴ったのか。平山は自身の像から改めて生れたように、あるいは結晶していた像が動きだしたかのように踊った。像から離れて自律して踊 り、クライマックスでは再び像に密着し口づけを交わした…。
(7月17日、銀座・コバヤシ画廊)

Photo:池上直哉
Photo:池上直哉
Photo:池上直哉