ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2006.06.10]

谷桃子バレエ団創作小ホール公演、CREATIVE PERFORMANCE

 谷桃子バレエ団が毎年行っている創作小ホール公演で2作品が初演された。
振付デビューを果たしたのは前田新奈。鼓童の音楽を使った『くろカミ』である。女性ダンサー4名、男性ダンサー2名による鼓童のリズムにのせた歯切れの いい動き、若々しく小気味のいいダンス。消えることの無い愛の想いを<くろカミ>に象徴させた作品である。
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もう1作品は、連続4回目の登場となる岩上純の『REQUIEM--時空を超えた愛--』だった。私なりに読みとった物語は、冥界の男と現世の女の愛に 横恋慕した女が、男の出自を暴く。男は冥界に戻され、女はユリの花をもって弔い、冥界に迷い込む。冥界の王の前で男は女をかばう。結局、女は現世に戻り、 祈りの踊りの中で目覚める、という<逆ジゼル>ともみえるもの。音楽はサン=サーンス、鷲津詩郎、川井郁子ほかを使っているが、冥界をロック風、現世をエ スニック風、祈りをクラシックとして構成しているようだ。
なかなか思い切った振付で、迫力のあるダンスである。ラストの死者への祈りに合わせて女が甦るシーンでは、思わず感動した。全体にやや荒削りなところもあり、冥界のダンスが力強過ぎるような気がしたが、決してひとりよがりのダンスではない。
クラシック・バレエの伝統にも敬意が感じられ、好感の持てる舞台であった。ただ、できればチラシなどに配役を記するとか、観客が理解する際の何かを提供しておいてもらいたい、と思った。今後の作品に大いに期待したい。
(5月16日、東京芸術劇場小ホール)
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