ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

From Tokyo <東京>: 最新の記事

From Tokyo <東京>: 月別アーカイブ

佐々木 三重子 text by Mieko Sasaki 
[2006.01.10]

森下真樹ダンスショウ!!

  若手のダンサー・振付家の中でも、とりわけ注目される森下真樹が、〈ダンスショウ!!〉と題した公演を、A、B二種のプログラムで行った。そのBプロに並 べられた三つの全く異なる作品は、それぞれダンサー、女優、そして一種の声のアーティストとしての森下の才を際立たせるもので、自身が代表作『デビュタン ト』で自己紹介として語った「すっちゃか、めっちゃか、あばれんぼう」的な個性を伝える格好のステージとなった。

最初の『peel slowly and see』は、一緒に「Study of Live Works 発条ト(ばねと)」を創設した仲間、白井剛との共同作品。安全ピンを紐のように繋げた先にバナナがぶら下がっている。円形スポットの中に森下と白井が後向 きで立ち、それぞれが手に持つバナナをバトンタッチするかのように左右に持ちかえる。やがてバナナを床に置いて踊り始めた。腕や脚を鋭く振り、身をひるが えし、床に滑り込み、走り回るなど、狭い舞台一杯に動作のキャッチボールは密度を増していった。かと思うと、『フニクリ、フニクラ』をハミングし合ったり もする。白井は森下が持つバナナをかじるが、森下は白井がちぎり落としたバナナを白井の脚の間から差し出し、握りつぶす、という最後は意味深長でもあっ た。

続く『森下ひとり芝居+β』(脚本=田代裕一)は、大きな木になりたいセロリとヒヨコになりたい生卵が冷蔵庫から抜け出し、満月に向かって仲良く上ってい くという奇想天外な、だが、ほのぼのとしたお話し。真っ赤な衣装で現れた森下は、セロリと生卵の台詞とナレーションを、ピッチや語調を変えて巧みに語り分 け、落ち着いた間合いで観客の反応を確かめながら、聞き手を引き込んでいった。最後は『モリシタ アワーヅ』。粟津裕介がプロデュースする威勢の良い音楽 に操られて、森下や白井、森下の妹の森下愛らが、オノマトペの範疇に入るのか、奇妙な音声に転換された言葉を競うように発し、にぎやかに歌い、踊りまくっ た。中でも森下は、発声や舌の動かし方が巧みなようで、よく回る口で表情豊かにまくしたてたのには感心した。このように次々に新たな魅力を発揮する森下 は、目が離せない存在である。
(12月15日、こまばアゴラ劇場)

「peel slowly and see」

「森下ひとり芝居+β」

「モリシタアワーヅ」