ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2005.03.10]

●田中泯の桜花村舞踊公演『家族からから』

 田中泯は「踊りの村を作ろう」という考えから、山梨県白州町を拠点に、「日々農耕ト舞踊ノ研鑽ニ精」をだし、お茶、梅、林檎、オリーブ、じゃがいもなどの作物を収穫している。 今回の公演会場でもその一部を販売していた。公演活動は、劇場に限らず美術館や屋外などでも精力的に展開している。
『家族からから』は、2003年に白州町の「水の舞台」で習作初演され、各地で上演された。今回は、劇場版として全面的に創作改訂された。

田圃のように舞台全面にふくらはぎくらいの深さに水を張り、その中で六人のダンサーが踊る。水の中で踊ること自体が、生きることの苦悩を暗喩するものとなっている、と言えるのかも知れない。 何枚かの畳を浮かべ、その周辺で棹を使ったり、柱を運んだり、寝たり、叫んだり、着替えたり、様々の家族の日常の行動が田中泯独特の動きによって象徴的に踊られる。 日常の動きの意味を剥ぎ取り、解体していくことと、家族の構成要素を水に浮かべることによって、家族という繋がり、人間と人間の繋がりを捉えなおす。 ダンスと美術、音楽が均質の象徴性をもったレベルの高い舞台であった。
(2月7日、新国立劇場小劇場)