ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2005.03.10]

●上村なおかソロ『一の百』、岡登志子の『Nebel land』

 近年、上村なおかはほとんど毎年、新作のソロ公演を行ってきた。 ただ、一昨年の暮れにソロを踊ったが、昨年はコラボレーションの舞台は多かったがソロはなかった。とまあ、上村の新作ソロ公演が観たかったわけである。

今回の新作は『一の百(Ich no Hyaku)』というタイトル。01年以来続けてきたソロ公演では、身体性を追求して作品を創ってきたが、 この『一の百』では、「上村なおかとして踊るとどういうことになるか」と考えて創作した、という。そして「記憶」に思い到って創った作品である。
会場はベニサンピット。中央の舞台をまわりの客席が見下ろす、という配置である。床を使うというか、床面に横たわって始まった踊りは、途中、 客席の最上部に上がってしばらく静止するなど、終始、空間の底を意識した踊りである。


 身体の記憶を探って太古の記憶を想い、個人の記憶を辿って人類の記憶に到る、といった記憶というものの根源のイメージに描こうとしたかのような舞台であった。(2月6日)
ドイツのフォルクヴァング芸術大学(クルト・ヨ-スが設立し、ピナやリンケなどが学んだ)で舞踊を学んだ、岡登志子が主宰するアンサンブル・ゾネ(太陽)は、大体、年に一作のペースで新作を神戸、東京、名古屋などで上演している。


『一の百』

  05年の新作は『Nebel land ----霧----』である。アンサンブル・ゾネの公演には、外国人がダンサーやスタッフとして参加することが多い。今回は、フォルクヴァング芸術大学卒 業のブラジル人とフランス出身のダンサーが参加し、垣尾優も加わった。音楽はFritz Sitterle。岡は振付、演出、構成を兼ねている。
ソロやデュオ、トリオのダンスが様々に踊り継がれる。ダンサーの実存を舞踊に昇華し、そのダンスによって変容する空間を提示する、といった舞台。ダン サーはごく普通の生活の服装で踊り、日常的な動きを種々組み合せてダンスとして表現している。けれんのまったくない清楚な印象を残す舞台であった。
(2月1日、シアターX)


『Nebel land ----霧----』