ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2004.12.10]

●下村由理恵 バレエ・リサイタル DANCE for Life 2004

 下村由理恵がバレエ・リサイタルを開いた。芸術監督は篠原聖一である。
幕開けは篠原振付の『DRAMA』。ピアソラのリズムにのって佐々木大と下村が踊った。続いて下村自身の振付による『le Jeu(ル・ジュ)戯れ』。ショパン他の音楽を使って5人のバレリーナが3つのシーンを踊ったが、2番目の軽快な踊りが良かった。『The King of Comedy』は篠原の振付で自身が踊るのだが、篠原のソロの部分は佐々木大が振付けている。戦争によって魂が引き裂かれる天才ダンサー、ニジンスキーを 見詰める喜劇王、チャップリンと戦争の関わりを描いた作品だった。音楽はチャップリンの『黄金狂時代』他。『シェヘラザード』は、下村のシェヘラザードと 佐々木大の金の奴隷、王は小泉孝司。音楽はリムスキー・コルサコフ。篠原が「シェヘラザード」の世界をパ・ド・ドゥに凝縮している。佐々木は奴隷を堂々と 踊ったし、下村の蠱惑的な魅力が存分に発揮された舞台だった。

最後は、松崎すみ子振付による『トパーズいろの香気(智恵子と光太郎)』。智恵子と智恵子の内なるもの、光太郎と光太郎の内なるもの、そして三人のバレ リーナが「時の流れ」を踊る。光太郎が芸術家として自身の内なるものにこだわっているうちに、智恵子の内なるものが衰弱してゆき、ついには内面と身体の関 係が崩れ狂気に陥っていく。そのプロセスが、二組のペアとコール・ドの踊りで描かれている。なかなか説得力のある構成だった。ラストシーンは、草月ホール の初演では、美術の前田哲彦がコスモスが青い空の下に咲き乱れる装置を作った。今回の円形劇場ではその装置は使えず、色とりどりの千代紙を無数に細かく千 切って背景いっぱいに万華鏡のように散らし、純真な智恵子の乱れた心を表した。



(10月30日、青山円形劇場)