ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2004.11.10]

●大島早紀子の『白夜』、近藤良平の『私の恋人はどっち~世界の物乞いから~』

  大島早紀子率いるH・アール・カオスは、白河直子を中心としたダンサーによる新作『白夜』を上演した。地上に灯りが現れて以来、闇の深淵は徐々に失われ、 ついには白夜のような薄明が支配する世界となった。そしてプライヴァシーもまた、電子技術の開発によりモバイルや監視カメラや盗聴などが暗躍し輪郭を失っ てしまった。といったコンセプトから『白夜』は創られている。
壁の向こう側の闇から白河がランタンを下げて登場。ほとんどステップを踏まずに、インドのムードラを思わせる手と激しく動く腕、白い美しい姿体が微妙な ラインを描いて揺れる。3人のダンサーも登場して、携帯電話のカメラの直近の映像が壁に映される。白夜に雪が舞うかのような静謐なイメージの中、白河を中 心とした
激しい踊りが繰り広がられていく。
ロシア公演で遭遇したのであろうか、白夜の大理石のような美しい照明が特に印象に残った。
(10月14日、世田谷パブリックシアター)

近藤良平の「リンゴ企画2004」は二回目のトリオだったが、近藤、平山素子と石淵聡にコンドルズの山本光二郎が加わった。基本料金は前回同様500円 に作品の面白さによって観客自身が値段を決めて支払う、という趣向は変わりない。生憎、というべきか、石淵が骨折。これを、好機到来とまではいわないが 「ハンデは挑戦なり」の精神で、松葉杖を駆使するダンサー、石淵が誕生した。むしろ彼の音楽的素養が引き立てられたのである。
全編を通して抱腹の面白さだったが、ダンスで綴る舞踊史講座が楽しかった。とりわけ、平山素子が多士済々の日本のコンテンポラリー・ダンスのテクニックをパロった技は見事。小空間で次々と巧まざるアイディアを繰り広げる近藤現場監督には脱帽である。
(10月8日、セッションハウス)