ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2004.11.10]

●ヨネヤマママコ『月に憑かれたピエロ』、「山田耕筰・新たな展開」

 シェーンベルクによるヨネヤマママコのダンスマイム『月に憑かれたピエロ』が、25年ぶりに再演された。
ベルギーのシュルリアリズム派の詩人アルベール・ジローは、コメデア・デ・ラルテのピエロ、コロンビーヌ、カサンドロなどのキャラクターが月に憑かれて 怪奇な幻想にとらわれる詩を作った。12音技法を開拓した現代音楽家シェーンベルクは、このジローの詩「月に憑かれたピエロ」の21編に旋律をつけた。歌 は歌うのではなく、音程にそって話すことが要求される独特のシュプレッティシュティンメといわれるものが、この曲で初めて使われた。
ママコは石井漠の門下だった父からバレエを学び、後に江口隆哉、大野一雄に師事している。91年に渡仏して新たな創作拠点を構えていた。
シェーンベルクの「弦楽五重奏曲」作品26の演奏の後、ママコは素晴らしいダンスマイムを見せた。音程にそって話すシュプレッティシュティンメとママコのマイムが、舞台に降り注ぐ目には見えない月光と美しく調和する。不思議な幻想の世界が魔法のように紡ぎだされた。
(10月16日、東京芸術大学 奏楽堂)

4回目の「山田耕筰・新たな展開」が、ピアノ/クリヤ マコト、サクソホン/平野公崇、タップダンス/玉野和紀、ベース/早川哲也によって開催された。
山田耕筰はドイツ留学の折りに、当時ヨーロッパを席巻していたバレエ・リュスやイサドラ・ダンカンなどの公演を観て、舞踊芸術に鋭いアプローチを試みている。その解析を行った文章は、むろん今日読んでもヴィヴィッドで深く心を打つものがある。
今回の「山田耕筰・新たな展開~ニュー・コラボレーション・タイム~」のプログラムでは、「曼珠沙華」「赤とんぼ」「野薔薇」「あわて床屋」「からたち の花」「この道」ほかの山田耕筰の著名な曲を、クリヤ マコトと平野公崇がジャズ風にアレンジしたものが演奏された。その中の4曲ほどをタップダンスの玉野和紀が踊った。玉野は86年に渡米し、『ソフィストケ イテッド・レイディース』の振付師ヘンリー・ルタンに師事している。「二条城音舞台」で横笛と、新日本フィルハーモニー交響楽団とクラシックと、パーカッ ションの石川直などともコラボレーションを展開している。今回の公演では、タップダンスであると同時に楽器としても参加したかのようであった。今、タップ ダンスはひとつのブームを迎えているが、今後が期待される舞台だった。
(10月4日、紀尾井ホール)