ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2004.09.10]

●中国舞踊を継承する、鳳仙功舞踊団の『嬉神』

 中国の伝統舞踊に「気」の概念を取り入れた鳳仙功舞踊は、中国人舞踊家の大鳳真陽が創案し、日本人女性ダンサーの舞踊団で踊られている。作品は美と生命の躍動を表現する舞踊が中心となっている。

今回は、第6回シアターX 国際舞台芸術祭の公募作品として、『嬉神』(大鳳真陽振付)が踊られた。

嬉神とは喜びの神。舞台には喜びの表情をたたえた面で顔を隠した3人の女性ダンサーが登場する。ダンサーたちの前には黒い幕があり、彼女たちは面で顔を隠したり現したりしながら踊る。

音楽は、中国の現代音楽家、余亦五作曲の『三峡』の中の曲を使っている。三峡は、中国、長江の有名な大峡谷のこと。音楽からは、河の流れのリズムと切り 立った深い峡谷の川面から立ち上る靄の中の幻影を描いたようなメロディが感じられる。すると、黒い幕は峡谷に切り立つ岩で、ダンサーたちは岩の間から顔を のぞかせる妖精かもしれない。古来、三峡は交通の難所だったそうだから、喜びの面を付けて旅人を誘っているのだろうか。

しかしやはり、美しい嬉神の舞は、悠久の川の流れと巨大な大自然の彼方に、桃源郷を指し示しているようであった。(8月18日、シアターX)