ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2004.07.10]

●ジャズの感覚で描かれた『プレイ・ウィズアウト・ワーズ』

  マシュー・ボーンの新しいカンパニー、ニュー・アドヴェンチャーズの第1作『プレイ・ウィズアウト・ワーズ』が来日上演された。これは、1968年のイギ リス映画『召使』(ジョセフ・ロージー監督、ロビン・モーム原作、ハロルド・ピンター脚本、ダーク・ボガード主演)にインスピレーションを得て創られた舞 台。

英国の青年貴族とそのフィアンセが、召使いやメイドあるいは場末のミュージシャンと関わっていくうちに、支配関係が崩壊していく様子を描いている。1960年代の英国階級社会の姿を映した作品である。

ひとつのカップルを、3組あるいは2組の俳優が同時に舞台に登場して演じる。しかもひとつの出来事を、それぞれのカップルごとに時間をずらして演じるなど工夫を凝らしたボーン演出が、公演前から話題を読んでいた。

確かに、3組のカップルが同じ舞台の上でラヴシーンを繰り広げると、不思議な感覚に襲われる。演技やパントマイムというよりも、動きが様式化して見えるのでやはりダンスとして、パ・ド・シスを観ているような気分である。

舞台の袖で小編成のバンドがジャズを演奏し(音楽テリー・テイヴィス)、60年代のファッションや、<ピープショー>とか<ストリップティーズ>といっ たネオンも登場してかっこいい雰囲気を醸す。登場人物の官能的な心理とジャズが呼応し、支配関係がじりじりと溶解していく、というのが演出の狙いでもあろ う。

舞台中央に置かれたスパイラル状の階段の一部が移動し、ドアがついて室内シーンになったり、ネオンが降りてきて屋外シーンとなったりと自在。階段下に人 物が集まってラッシュ・アワーの電車になったのは驚いた。相変わらず、レズ・ブラザーストーンの装置は秀逸である。(6月28日、シアター・コクーン。