ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2004.07.10]

●美しく輝いたザハロワ、新国立劇場『眠れる森の美女』

  16歳のオーロラ姫は、舞台奥の階段をすべるように降りて来ると、その生気あふれる勢いのまま流れるように難技をこなし、ローズアダージョを見事に踊りぬ いた。オーロラ姫に扮したザハロワは踊りながら、じつはオーケストラも指揮しているのではないか、そんな感想さえもたらしたくらいに活き活きとしていて、 観衆の視線を一身に釘付けにする『眠れる森の美女』だった。

シルヴィ・ギエムをここでもちだして比較するのは変だが、ギエムのクラシック・バレエのポーズも完璧といってもいい。しかしまた、ベジャールやマッツ・ エック作品を踊るギエムも観ているので、彼女のクラシック・バレエとは異なった動きで創る表現も私たちは知っている。するとそのコンテンポラリーの舞台の 残像が微妙に作用し、完璧なクラシック・バレエのポーズをしているギエムがわずかだが輪郭がぼやけて見える。そんな気持になるのである。

ゼレンスキー&ザハロワ

もちろん、スヴェトラーナ・ザハロワの舞台にはそんな印象は微塵もない。周知のようにキエフ出身で、マリインスキー劇場から移籍し、現在はボリショイ・バレエで踊っているが、ザハロワは一途に古典的なスタイルを追求しているバレリーナである。

デジレ王子はイーゴリ・ゼレンスキーだったが、豊富な舞台経験を生かしてザハロワの美しさをうまく引き出し、なおかつ、自身もよく見せてしまうといういかにも洗練された踊りぶりであった。(6月4日、新国立オペラ劇場)