ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi  
[2004.06.10]

●恒例の松山バレエ団こどもの日の『ドン・キホーテ』

 松山バレエ団は今年、創立56周年を迎えるそうだが、ルドルフ・ヌレエフ版の『ドン・キホーテ』は1985年に上演した。このヌレエフ版は、66年にウィーン国立バレエで初演され、70年にオーストラリア・バレエで再演されている。

キトリとバジルの恋物語の展開に、ドン・キホーテ自身をからませたことがヌレエフ版の特徴であろう。中世騎士道を信奉し理想の姫ドルシネアを求めサン チョ・パンサを従えて遍歴するドン・キホーテ、宿屋の娘キトリと床屋のバジルのカップル、キトリを金持ちのガマーシュと結婚させようとしている宿屋の主人 ロレンツォとガマーシュ、の三組の追い掛けっこが物語の軸となる。そこにバルセロナの街の賑やかな祭りや結婚式、ジプシーの一団や闘牛士たちのグループ、 ドン・キホーテの森の中の幻想などの明るく闊達な、まるでスペインの風俗絵をみるようなシーンが次々と繰り広げられる。ラストは、騎士ドン・キホーテと狂 言自殺でキトリを奪われてお怒りのガマーシュの決闘となる。

松山バレエの舞台は、舞台一面に登場人物を配して、殷賑を極めた港町バルセロナの祭りの日を盛り上げる。やはり、キトリ/ドルシネアを踊った森下洋子の 行き届いた表現力、かつてヌレエフと世界の舞台に立った日を彷佛させる見事なステージだった。バジルの清水哲太郎は落ち着いた奥行きを感じさせる踊り。ド ン・キホーテほかのヴェテラン陣も手堅い演技でたいへんに楽しめる舞台であった。
(5月3日、オーチャ-ドホール)