ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2004.04.10]

シェイクスピアの世界を楽しく、東京シティ・バレエ『真夏の夜の夢』

 シェイクスピアの恐る べき言葉の魔術が描く絶妙なファンタジィ、『真夏の夜の夢』。この作品は、アシュトンやバランシンを始め、名だたる振付家たちが言葉のないバレエにしてい るが、東京シティ・バレエ団の台本を中島伸欣、演出・振付は石井清子、中島伸欣が手掛けた舞台を観た。(3月5日、ゆうぽうと)

この作品は、オベロン、ティターニア、パックなどの森の妖精たち、2組の恋人たちやシーシアス、ヒポリタなどの貴族、ボトムらの職人たちの三つの世界を めぐる恋の大騒動とその収拾を描いている。秘薬の<惚れ薬>や妖精の悪戯心などの小道具も駆使されているが、結局、恋の他愛のない愚かしさ、その恋に翻弄 される人間というも存在の性格を際立たせた作品であろう。東京シティ・バレエの『真夏の夜の夢』は、そのツボを手際良くまた嫌みなく舞台に見せてくれた。

振付はもちろん、演出や美術、照明も奇をてらわず、きちんとした効果を上げている。ダンサーもティターニアの安達悦子、オベロンの黄凱を始め、パックの 穴吹淳、2組の恋人たちの若手ダンサーなどそれぞれが持ち味をだして、物語の世界に溶け込んでいた。2組の恋人たちのパ・ド・ドゥを同時進行させたり、複 雑な人物関係も手堅い演出で分かりやすく踊られていて感心させられた。

ともあれ舞台では、もつれにもつれた恋の混迷が大団円に至って見事に収拾された。それなのにまた、恋をして妖精の森に迷い込みたい、そんな気がしてきのだが‥‥。






『真夏の夜の夢』