ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2004.03. 5]
 春一番が吹き荒れて、花がほころび水がぬるみ、日ざしもようやく春めいてきました。春や春、こころときめく時。ダンスがいっそう楽しく、劇場に向かうステップも軽やかになりますね。

牧阿佐美バレエ団によるプティの『ピンク・フロイド・バレエ』

 牧バレエ団は、バレエの舞台としてはたいへん スケールの大きい、ローラン・プティ振付の新制作『ピンク・フロイド・バレエ』を初演した。これは1972年にパリで初演され、73年にはピンク・フロイ ドの演奏のもとに上演された同名の作品を、30年を経て改訂したものである。




  幕開きは、菊地研のソロ "Run Like Hell"。バックライトを浴び、上半身は裸に白いパンツで元気良く踊った。続いてかつてプティのバレエ団のプリンシパルだったキューバ出身のリエンツ・ チャン、もうプティ作品ではお馴染みのアルタンフヤング・ドゥガラー、英国出身で『デューク・エリントン・バレエ』にも出演したシャーロット・タルボット とチャン、そして20カップルの踊りへと舞台は進んで行く。さらに、草苅民代、上野水香、オペラ座のプルミエのマリ=アニエス・ジローも加わって、いっそ うエキサイティングな踊りが繰り広げられた。

NHKホールの広い空間にセットを置かず、ブレイク・ダンスなども挿入したさまざまなフォーメーションを展開。しばしばレーザービームでダンサーの周辺に図形を描くなどして、ヴァーチャルな舞台イメージとピンク・フロイドの音楽を共鳴させていた。

牧バレエ団のプティ作品の上演は7作目になるが、『デューク・エリントン・バレエ』に続いて、彼の振付作品の中でもスケールが大きい音楽家をテーマとした 『ピンク・フロイド・バレエ』の新制作の上演を成功させたことは、意味がある。今後さらに、プティ作品の優れたものを日本の舞台に定着させてもらいたいも のである。 (2月7日、NHKホール)