ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2004.03. 5]

H・アール・カオスの最新作『人口楽園』

 大島早紀子が演出・振付け、白河直子が主演した新作『人口楽 園』は、さまざまに管理され、次第に存在感を失いつつある今日の身体の有り様を描いた舞台である。メディアからは情報が氾濫し、ゲームや映画の中では ヴァーチャルな感覚やイメージが錯綜し、ドラッグが歪んだ幻影を過剰生産する。高度な医療によって生かされ、実体から懸け離れた身体は、文明の残虐の中に 曝されている。

大島はこうした身体の現実を、手術台や点滴装置などの小道具と鮮烈なイメージによって描く。そして、現代の「生の実感」とは何か。人口楽園の中で覚醒し た身体のリアリティを獲得することは可能なのか、といった問題を切実な実感をもって舞台の上に提出している。今回もまた、白河の見事な踊りが圧巻だった。

現在、H・アール・カオスはロシア・ツァー中で、モスクワのヴァフタンゴフ劇場の初日は、3階席まで満員、補助席・立ち見もでる盛況で大成功だった、そうだ。この後、サンクトペテルブルク、ヘルシンキ、ワルシャワとツァーが続く。

写真3枚とも:H・アール・カオス『人口楽園』