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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2011.11.10]

季節の移ろいの中に命のリズムが刻まれた東京シティ・バレエ団の「四季」

「オーケストラ with バレエ」東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団 飯守泰次郎 指揮、 石井清子 構成・振付『四季』
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団、東京シテイ・バレエ団
tokyo1111h09.jpg 撮影:鹿摩隆司

「オーケストラ with バレエ」は、毎年この季節に開催される、オーケストラとバレエダンサーが同じ舞台上で共演する、ティアラこうとうのオリジナル企画公演だ。今年は東日本大震災で被災し、江東区に避難されている方々を招いて行われた。
第1部は、チェロ奏者の上村文乃を迎えて、飯守泰次郎の指揮により東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団がドヴォルジャーク作曲の『チェロ協奏曲ロ短調』を演奏した。
第2部では、やはり東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団がヴィヴァルディの『四季』を、飯守がチェンバロを担当して演奏。それにのせて石井清子の振付によるバレエを東京シティ・バレエ団が踊ったが、その前に壇上で曲目や演奏に関する簡単な解説があった。

まず「春」は、春の精役の志賀育恵とキム セジョンを中心に春の命が芽吹く喜びを、風の精の斎藤佳奈子も加わって、爽やかにしかし雷などの夏に向かうエネルギーを感じさせる自然の胎動をまじえて表した。「夏」は子羊と羊飼いを登場させ、自然の中の人間あるいは自然の大きさとそれに対する人間の小いささを表し、命の力強い鼓動が伝わってくる振りだった。「秋」は狩人たちと子狐の関係に命の脆さ、儚さを、果物や野菜などの収穫の祭りに命のエネルギーを讃える踊り。「冬」は常に雪が降り続け、自然が刻むリズムを感じながら、スケートをする姿が描かれる。そこには密やかに春の命の営みが息づいていた。

シンフォニックなダンスと羊飼いや小鳥、子狐あるいはスケートなどの具体的な事象とのバランスがよくとれていた。常に命のリズムが刻まれていて、観ていて気持ちが温まってくるようなチャーミングなダンス。小編成のオーケストラを舞台下手に載せて、ライヴの音楽とダンスが描くラインが対話しながら共振して、こころと身体がともに惹き付けられた。
毎回も行われていた指揮者と振付家が対話する試みは、解説に変わっていた。でも指揮者の声を聞かれなくなったのが少し寂しかった。
(2011年10月9日 ティアラこうとう大ホール)

tokyo1111h01.jpg 撮影:鹿摩隆司 tokyo1111h02.jpg 撮影:鹿摩隆司
tokyo1111h03.jpg 撮影:鹿摩隆司 tokyo1111h04.jpg 撮影:鹿摩隆司
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