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三光 洋 Text by Hiroshi Sanko 
[2017.09.11]

若手ダンサーたちが汗を飛び散らせながら音楽から横溢するエネルギーと一体になって踊った

Ballet de l’Opéra national de Paris パリ・オペラ座バレエ団
“Drumming Live” Anne-Teresa De KEERSMAEKER
『ドラミング・ライブ』アンヌ=テレサ・ドゥ・ケースマイケル:振付

昨シーズンの最後は当初バンジャマン・ミルピエとフィリップ・パレーノが共同して振付ける新作の世界初演が予定されていたが、ミルピエ前バレエ監督が退任した結果キャンセルとなった。代わってアンヌ=テレサ・ドゥ・ケースマイケルが振付けた『ドラミング・ライブ』が上演された。

pari1709a_01.jpg Sae Eun Park © Opéra national de Paris/ Agathe Poupeney

アメリカ人作曲家スティーブ・ライヒは、ミニマル音楽と呼ばれる単純なリズム音型の繰り返しからなるスタイルを創始した人だ。ライヒは1970年にアフリカのガーナ大学のアフリカ研究学院でアフリカの打楽器を研究し、翌1971年にニューヨークのモダンアート美術館で打楽器と声楽のための『ドラミング』を初演した。
この音楽を使って1998年にケースマイケルがローザス舞踏団に振付け、2000年にアンサンブル・イクチュスの演奏で再演された際に、現在の『ドラミング・ライブ』という題名となっている。

舞台後方にずらりと横に並んだ打楽器から打ち出されるライヒの音楽は、一定のリズム・パターンが変形されながら1時間にわたって繰り返される。一人のダンサーが描いた動きを時間を置いて次々に別のダンサーたちが繰り返していく。音楽のカノン(輪唱)のような作りだが、一つのモチーフが実に複雑に変化していって、目が離せない。パリ・オペラ座バレエ団の若手ダンサーたちが汗を飛び散らせながら音楽から横溢するエネルギーと一体になっていった。
1階席からは見えないが、実は床には黄金律からヒントを得た線が引かれていて、円や星、三角形を描いている。その線をダンサーたちは辿っていく。
刻一刻と変わっていく微妙な動きのヴァリエーションに観客は身を乗り出して舞台に見入っていたが、12人のダンサーの中でレティツィア・ガローニのしなやかな動きが特に目に付いた。折角の熱の入った公演でありながら、客席に空席が目立ったのは残念な限りだったが、多くのパリジャンはすでに夏のヴァカンスに出かけてしまっていたからかもしれない。
ケースマイケルの作品は2017・18年シーズンも9月のモーツアルト『コジ・ファン・トゥッテ』の再演に続いて、2018年4月28日から5月12日まで『クワルテット第4番』『大フーガ』『浄夜』のトリプルビルがガルニエ宮で上演される。
(2017年7月3日 ガルニエ宮)

pari1709a_02.jpg© Opéra national de Paris/ Agathe Poupeney pari1709a_06.jpg© Opéra national de Paris/ Agathe Poupeney
pari1709a_07.jpg レティツィア・ガローニ、タケル・コスト
© Opéra national de Paris/ Agathe Poupeney
pari1709a_08.jpg アクセル・イボ、マルク・モロー
© Opéra national de Paris/ Agathe Poupeney
pari1709a_09.jpg マチュー・ボットー
© Opéra national de Paris/ Agathe Poupeney
pari1709a_11.jpg© Opéra national de Paris/ Agathe Poupeney
pari1709a_12.jpg 『ドラミング・ライブ』© Opéra national de Paris/ Agathe Poupeney

『ドラミング・ライブ』
音楽 スティーブ・ライヒ(『ドラミング』1971)
振付 アンヌ=テレサ・ドゥ・ケースマイケル
装置・照明 ヤン・ヴェルヴェヴェルト
衣装 ドリース・ファン・ノーテン
演奏 アンサンブル・イクチュス
歌手 Synergy Vocals
指揮 Georges-Elie Octors
ダンサー(7月3日)
オーレリア・ベレ、クリステル・グラニエ、カロリーヌ・ロベール、レティツィア・ガローニ
カトリーヌ・ヒギンズ、ローレーヌ・レヴィ、シャルロット・ランソン、アヴァ・ジョワネ、アクセル・イボ、マルク・モロー、マチュー・ボットー、タケル・コスト