ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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渡辺真弓 text by Mayumi Watanabe 
[2004.07.10]

●ピナ・バウシュの『NEFES』がテアトル・ド・ラ・ヴィルで上演

 今年も、ピナ・バウシュがテアトル・ド・ラ・ヴィルに招かれ、6月4日から22日まで、2003年初演の『NEFES(風)』を上演した。

この作品は、ローマ、パレルモ、サンフランシスコ、香港、ブダペスト…、そして日本と続いた世界都市シリーズの一環で、2002年の夏にトルコのイスタン ブールに滞在した折に、創られたもの。 イスタンブールと言えば、古くは、大陸と文明の接点であり、現在では、ヨーロッパでも有数の観光地の一つとなっている。 テレビの旅行関係の番組でも、しばしばこの都市が紹介されており、ツーリストの食指を動かしているようだ。

装置家のペーター・パプストの作り出した舞台は、木張りの床から水が湧き出て、以前『悲劇』で見られたように、天井から水が降り注ぐ効果と、 第2部でビデオの影像が投影されるだけのもので、かつてないほどシンプルで飾り気がないが、それが最大限の効果を挙げていた。


 

踊り手は男女各10人。今回の作品には、作品柄か、東洋人のダンサーが増えたような印象で、個々のソロ・ダンスの場面も多い。 第1部は、トルコ式の入浴(ハマン)シーンに始まり、後半、天井から滝のように雨が降り注いで、クライマックスを迎える。 第2部は、恐らくボスポラス海峡と思われる大河の映像や、その雄大な自然を破壊しつつある都市開発を象徴するトラックや車の波の映像を映し出す。 壮大な大河の映像の前に、ダンサーたちが集って、お茶をするひとときが気持ちをなごませる。最後に、ダンサーたちが、男女別に別れて、 鎖のように手をつないで、列をなし、舞台を横切っていくシーンが、かつて海峡に渡された鎖をイメージさせ、ひときわ印象に残る。