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渡辺真弓 text by Mayumi Watanabe 
[2005.04.10]

●シャトレ座に来演したナチョ・ドゥアトとスペイン国立バレエ団

 

  2年前シャトレ座へ初登場し、熱狂的な歓迎を受けたナチョ・ドゥアト率いるスペイン国立バレエ団が、好評に応えて再び来演(3月10日から20日まで)。 アンコール上演となったドゥアト振付の『MULTIPLICITE(多様性)』『FORMES DE SILENCE ET DE VIDE(沈黙と虚無の形式)』(1999年初演)の第1プロのほか、オール・ドゥアトの作品による、もう二つのプログラムを携え、カンパニーの現在を強 くアピールした。

第2プロでは、アルカンジェロ・コレッリとアレッサンドロ・スカルラッティの音楽に振付けた『アルカンジェロ』(2000年)と スペインの15、16世紀の伝統音楽による『ポル・ヴォス・ムエロ(あなたのために死ぬ)』(96年)、そしてカール・ジェンキンス音楽の『ホワイト・ ダークネス』(2001年)の3作品が上演された。 全体に、師のキリアンの影響をとどめながらも、より野性的なエネルギーを感じさせる作品だった。前回の来演と同様、秋山珠子の冴えた動きが目を引いた。

『ホワイト・ダークネス』


『TXALAPARTA』
  第3プロは、ドゥアトの作風の今日性が伺える内容で、まず最初の『TXALAPARTA』(2001年)では、デュエットからアンサンブルに至るまで、プ リミティブで躍動的な動きが圧巻、 幕が下りたとたん、嵐のような拍手がわき起こった。タイトルは、バスク地方の伝統的な打楽器の名称だそうで、乾いたパーカッションのリズム(音楽=ケパ・ ジュンケラとオレカ・TX)が心地よく動きを乗せていく。 後半の『HERRUMBRE(さび)』(2004年)は、ドゥアトがキューバのグアンタナモの米軍基地の捕虜収容所の写真に触発されて創作したという1時 間の大作。音楽=ペドロ・アルカドロ、セルジオ・カバレッロ、ダヴィッド・ダーリング。牢獄の鉄格子を思わせる、ジャファー・カラビの装置は、冷たく無情 で、終始重苦しいムードが支配する。虐待される人々のイメージに、自由への渇望や、抵抗する姿が重なり、社会的告発の力強いメッセージが込められた力作で ある。

 このカンパニーのパリでの人気はすさまじい。一ヶ月前にシルヴィ・ギエムの『カルメン』の公演があったばかりだが、それを上回る熱狂ぶりには圧倒された。



 なお、シャトレ座の来シーズンの予定がこのほど発表された。話題は、キーロフ・バレエ(マリンスキー劇場バレエ)の3年ぶりの来演で、 定番の『白鳥の湖』と『くるみ割り人形』のほかフォーサイス、バランシン・プロを上演する。


 公演日程は次の通り。



11月23、24日 <フォーサイスの夕べ>
『ステップテクスト』『精密の不安定なスリル』
『イン・ザ・ミドル・サムホワット・エレヴェイテッド』
11月25、27日 『白鳥の湖』
ウリアーナ・ロパートキナ、ダニラ・コルスンツェフ、イリヤ・クズネツォフ
11月26日 『白鳥の湖』
アリーナ・ソモヴァ、イーゴリ・ゼレンスキー、クズネツォフ
11月28、29日 <バランシンの夕べ>
『フォー・テンペラメント』『ラ・ヴァルス』
『バレエ・インペリアル』『放蕩息子』
12月2、3、4、5日 『くるみ割り人形』
(演出シェミャーキン、振付シモーノフ)4、5日は指揮ゲルギエフ

  問い合わせは

www.chatelet-theatre.com