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渡辺真弓 text by Mayumi Watanabe 
[2005.04.10]

●ベラルビ振付『嵐が丘』再演、ジロー&ル・リッシュの卓越した演技

 今から3年前に初演されたカデール・ベラルビ振付の創作バレエ『嵐が丘』がガルニエで再演された(3/5ー15)。

 エミリー・ブロンテの原作に触発され、フィリップ・エルサンのオリジナル音楽、ペーター・パプストの美術により制作された2幕のバレエ。初演の際は、 マッツ・エックやピナ・バウシュなどの動きを想起させたり、全体にまだぎこちない面が見られたが、今回久々に見て、隅々まで入念な仕上げの後が見られ、同 じ作品とは思えないほどだった。

  主要キャストはほとんど変わらないが、各人の人物像の解釈が深まったせいか、舞台の出来映えは大きく違う。まず主役キャサリンを演じたマリ=アニエス・ジ ローと、キャサリンを狂おしいまでに愛するヒースクリフを熱演したニコラ・ル・リッシュのペアの演技が卓越している。二人はバスティーユで平行して上演中 の『シルヴィア』でもそうだったが、今最高に乗っている。ダイナミックで現代的な感性がぴったり一致しているように見えるのである。けれども、この二人が 共演するのを見られる機会はそうないから、ますます貴重だ。

ベラルビは、今回の再演に際して、全体に細かく手を入れたのかもしれない。例えば、キャサリンの兄、ヒンドリーのウィルフリード・ロモリの作品に占める 比重が増したような気がしたが、これはロモリがエトワールになって、ジローと同じように、第一舞踊手のころと比べて、演技に自信と余裕が出てきたためかも しれない。

ジロー

 ベラルビは、ヒースクリフとキャサリンのそれぞれの分身として、身体とエスプリを代表するアンサンブルを登場させている。嵐を呼ぶような黒衣の男性舞踊 手の集団と、キャサリンの死後、第2幕で登場する、現代版『ジゼル』のウィリーたちといった趣の女性群舞だが、その扱いが、ドラマの雰囲気を高める上で非 常に効果的であった。



 エドガーのジャン=ギヨーム・バール、エドガーの妹イザベラのエレオノラ・アッバニャート、ジョゼフ老人のジャン=マリ・ディディエール、召使いネリー のセリーヌ・タロン、キャサリンの娘キャシーのミュリエル・ジュスペレギー、ヒースクリフの息子リントンのジル・イゾアールと、充実した脇役陣がドラマを 盛り上げていた。




ジローとバール

ル・リッシュ

ロモリ