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三光 洋 Text by Hiroshi Sanko 
[2017.09.11]

ダンスに対するあふれんばかりの想いが伝わってきた、キューバ国立バレエ団『ジゼル』

Ballet national de Cuba キューバ国立バレエ団
“Giselle” Alicia ALONSO
『ジゼル』アリシア・アロンソ:振付

フィルハーモニー・ド・パリ開場までパリのクラシック音楽の殿堂だったサル・プレイエルで、7月6日から20日までキューバ国立バレエ団が引越し公演を行った。
同バレエ団を率いるアリシア・アロンソはまずダンサーとして、それから振付家として『ジゼル』の再生に力を尽くした。パリ・オペラ座でアロンソがジャン・コラリとジュール・ペロの原振付をもとに作った『ジゼル』を見た。

pari1709b_06.jpg キューバの至宝、アリシア・アロンソのジゼル
(C) Tonatiuth Gutierrez

サルヴァドール・フェルナンデスによる装置はパリ・オペラ座の舞台に見慣れた目には、最初、素朴そのものに見えたが、物語の背景として効果的に作られていた。衣装も質素なものだった。
しかし、舞台が進み出すと、ソリストのみならずコール・ド・バレエの一人一人の身体から放射されるダンスに対するあふれんばかりの想いが伝わってきて、ドラマの中に引き込まれていった。
ジゼル役のグレッテル・モレヨンは小柄で最初は目立たない印象を与えたが、踊り始めると確かなテクニックと豊かな表情と視線、巧まずして自然な所作、愛らしい雰囲気によってヒロインそのものとなり、その胸の内は見ている誰の目にもはっきりと伝わってきた。溌剌としたラファエル・クエンディもアルブレヒトにふさわしい気品があり、ヒラリオン役のジュリオ・ブラネスも達者な演技でドラマを盛り上げた。ジゼルの友人の男女を踊ったコール・ド・バレエの生き生きとした群舞も忘れがたい。
7月6日の開幕ガラ公演には97歳を迎え、今では盲目の人となったアリシア・アロンソがカーテンコールに登場したという。彼女が1948年に夫のフェルナンド・アロンソといっしょに創設し、手塩にかけてダンサーたちを育ててきたバレエ団の個性的で踊る喜びにあふれた舞台には独自の魅力が感じられた。
(2017年7月8日マチネ サル・プレイエル)

pari1709b_04.jpg ジゼルを踊ったグレッテル・モレヨン Grettel Morejon
(C) Gabriel dal Valos
pari1709b_05.jpg アルブレヒトを踊ったラファエル・クレンディ Rafael Quenedit
(C) Gabriel dal Valos
pari1709b_07.jpg ジゼル/Anette Delgado、アルブレヒト/Dani Hernandez
(C) Nancy Reyes

『ジゼル』
音楽 アドルフ・アダン
振付 アリシア・アロンソ
配役(7月8日マチネ)
ジゼル グレッテル・モレヨン
アルブレヒト ラファエル・クエンディ
ヒラリオン ジュリオ・ブラネス
ミルタ グレンダ・ガルシア

pari1709b_02.jpg ジゼル /Yolanda Correa、アルブレヒト /Yoel Carreno
(C) Nancy Reyes
pari1709b_03.jpg アルブレヒト /Dani Hernandez
(C) Nancy Reyes
pari1709b_01.jpg 「ジゼル」(C) Carlos Quezada
pari1709b_08.jpg (C) Alfredo Canatello
pari1709b_09.jpg  「ジゼル」(C) Nancy Reyes

※舞台写真は他日公演です