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渡辺真弓 text by Mayumi Watanabe 
[2005.02.10]

●ガルニエのカニングハム公演

 前回、ニューヨーク・レポートでも紹介されたマース・カニングハム舞踊団が、新春早々フランスに来演。1月7日から11日まで、パリ・オペラ座ガルニエで公演した後、ミュルーズ(14日)とリヨン(26~29日)を回った。

 舞踊団がガルニエに招かれたのは、92、98年に続いて3回目だが、テアトル・ド・ラ・ヴィルやフェスティヴァルなどを含めると、64年の初の訪仏から数えて、 この40年間にどのくらい来演したのか、数えきれないほどである。フランスのヌーヴェル・ダンスの発展に大きな影響を与えたモダンダンスの巨匠として、長く敬愛されてきた証拠だろう。 しかし、今回は,そうした敬意をもって迎えるジェネレーションと、受け入れられない層と、客席が二分化され,初日公演では最初の新作2本で、ブラボーとブーイングの応酬となった。

 幕開きの『MinEvent』は、今回のガルニエでの公演に際して、特別に用意されたもので、作曲家と装置家が日替わりという趣向。初日の音響は、ダニ エル・キーンジー 、装置はクロード・レヴェックで、空気が押し出されるような音やピアノ等のとぎれた音響と、銀色の輝く人工的な岩壁をバックに、14人のダンサーが踊る。 黄緑色に、白とワイン色をあしらったレオタード(デザイン:ジェームズ・ホール)が色彩鮮やかなものの、クラシックの基本運動を基調としたカニングハムの 振付には、あまり新味は見られなかった。 それは、次の『Views on Stage』にも言えることだった。ジョン・ケージの『ASLSP』に振付けられた2004年初演のこの作品で、最も目を引いたのは、天井から水滴のよう に垂れ下がったゴム状のオブジェ(エルネスト・ネト作)で、 ダンサーたちの白いスカートの衣装もセンスは悪くなかったが、独創的な装置や衣装に対して、振付が拮抗していたかどうか。

 最後に置かれた『サウンドダンス』は、75年の初演で、今回上演された中で最も古い作品。デヴィッド・チュードアのシンセサイザーの音響が轟く中で展開される小品は、 レトロながら、当時の、カニングハムの前衛精神の片鱗がかいま見られ、終演後は、客席から歓声が上がった。 カーテンコールで、85歳のカニングハムが赤いシャツ姿で杖をついて舞台袖から姿を見せると、客席総立ちとなり、暖かい拍手が送られた。

『MInEvent』
『Views on Stage』
『サウンドダンス』