ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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渡辺真弓 text by Mayumi Watanabe 
[2004.04.10]

リリー=ウッドバリー・ダンス・カンパニーのアルウィン・ニコライ回顧

  舞台の魔術師といわれ、1993年に亡くなったモダンダンスのパイオニアの一人、アルウィン・ニコライの作品が、テアトル・ド・ラ・ヴィルで上演された (2月24~28日)。ニコライ・ダンス・シアターは、1971年から92年までの間に同劇場に8回来演。ニコライが亡くなった後、カンパニーはマレー・ ルイスによって引き継がれ、99年まで続いた。今回来演したのは、リリー=ウッドバリー・ダンス・カンパニーで、この団体は、ニコライのカンパニー出身の 二人のダンサーによって、64年にソルト・レイク・シティで発足したもの。しかし、今回の公演の芸術監督はルイスとなっている。

<Tensile Involvement>

 上演されたのは、代表的な7作品で、反射鏡を使い、身体の部位を変型させた『Crucible』(85年)、東洋的なシルエットの 『Lythic』(56年)、都会の風景を整然と描いた『Blank on Blank』(87年)、伸縮性のあるリボンを張り巡らした中で踊られるスポーティーな『Tensile Involvement』(55年)、伸縮自在の袋に入ってアメーバのように動く『Noumenon Mobiles』(53年)、ジャングルの動物のイメージの『Finale』(83年)、アクロバティックな『Mechanical Organ』(80年)など、ニコライ自身が振付から衣装、音響、照明に至るまでほとんど一人で手がけており、トータルアートの趣。ユーモラスで豊かなイ マジネーションに満ちた作品は、今見ても色あせていない。

余談になるが、ちょうど二月にロバート・アルトマン監督のシカゴのジョフリー・バレエを舞台にしたフィクション・ドキュメンタリーといえる映画『カンパニー』が公開された。この映画の冒頭で、ニコライの代表作の一つ『Tensile Involvement』の一場面が踊られている。