関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2009.10.13]
[ミュージカル]

『南十字星』で劇団四季のオリジナルミュージカル「昭和の歴史三部作」が完結

『ミュージカル南十字星』
劇団四季
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『ミュージカル季香蘭』『ミュージカル異国の丘』に続く『ミュージカル南十字星』で、劇団四季オリジナルミュージカル「昭和の歴史三部作」が完結した。
今回は太平洋戦争下、日本の軍政がひかれたインドネシアが舞台。
インドネシアの留学生リナと淡い恋を交わす京大生の勲は、出征地でリナと再会する。彼女はオランダの支配に立ち向かうインドネシア独立運動の指導者の娘。
日本軍はオランダを撃退するが、戦況が悪化し原地の人々との融和が困難となる。勲はささいな行き違いからオランダ人の捕虜たちの反感を買うようになる。
日本は敗戦し、連合軍による戦犯裁判が開かれて、充分な調査もないまま勲はBC戦犯として絞首刑の判決を受ける。そしてかつてリナとともに歌った「ブンガワン・ソロ」の歌声を遠くに聞きながら十三階段の露と消える。
 

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BC級戦犯として連合軍によて裁かれた、一人の青年が、インドネシア留学生との淡い恋や激しい独立運動、自身の義兄が敗戦が決まると変わり身速く独立運動に身を投じていくことなどを体験。さらに義兄の身代わりに出頭して捕らえられる。
そうしたストーリーを描きながら、華やかなインドネシアの舞踊や影絵が舞台で演じられ、日本の文化と似ている習俗などもあり、二つの文化の交流が交わされる。
処刑の刻限が迫る中、留学生の恋人リナが大きな危険を冒して「一目会いたかった」と監獄に姿を現す。そこで勲は、歴史の流れに一身を捧げることが自分の運命だ、と苦しみ抜いた末の言葉を伝える。リナはその言葉を胸に秘めて未来に向かって生きてく。
日々、日本人に襲いかかった戦争の体験が忘れられ、様々な歴史的事実も忘れられようとしている。そんな中で、演劇の立場から戦争体験を明らかにしようという試みである。
この『ミュージカル南十字星』は作曲の三木たかしに捧げられている。

(2009年9月15日 四季劇場[秋]/撮影:荒井健)

DVD情報
ミュージカル南十字星

  • 発売中 ¥6,090(税込み)
  • NSDS-12865/142分
  • 発行・販売:NHKエンタープライズ
  • 四季劇場売店他、全国のCD・DVDショップ発売中。
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