ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

From Osaka Nagoya <大阪・名古屋>: 最新の記事

From Osaka Nagoya <大阪・名古屋>: 月別アーカイブ

すずな あつこ text by Atsuko Suzuna 
[2018.05.10]

バレエを始めて観る方にも親しみやすい演出による『コッペリア』、カンパニーでこぼこ

カンパニーでこぼこ
『コッペリア』脇塚力:演出・振付

今回16回目を迎えたカンパニーでこぼこ公演。忘れもしない、第1回も演目は『コッペリア』だった。西田佑子の可愛らしいスワニルダが今も眼に残っている。今回は2日公演でダブルキャスト、昨年に続いて守山俊吾指揮、テアトロ・バレエ・Orchestra大阪の演奏とともに上演された。私が観たのは14日で、スワニルダを今中亜莉沙、フランツを脇塚力が踊った(15日は中山恵美子&岡田兼宜)、コッペリウスは郷原信裕(15日は脇塚力)。全体に現代っ子らしい、ちょっと漫画チックな表現で演出されている。今中は、そんな明るくコミカルで溌剌とした雰囲気がとても良く似合い、また、脇塚も満面の笑顔でチャーミングにフランツを演じて、肩の力を抜いて楽しめる親しみやすい舞台に仕上がっていた。

osaka1805b_1081.jpg スワニルダ:今中亜莉沙、フランツ:脇塚力
撮影:田中聡(テス大阪)

演出・振付も脇塚。ここの『コッペリア』には独自の工夫がいろいろある。初めて観る方にも入り込みやすいようにという思いからだと察するが、例えば2幕。コッペリウスの家に忍び込んで、帰って来たコッペリウスに友人たちが追い払われ、スワニルダだけがコッペリア人形が置かれたカーテンのなかに隠れているところ。このコッペリア人形が置かれたところが、よくある舞台下手などではなく、舞台中央の2階部分、観客にとてもよく見える場所だ。そこで、影絵のようにカーテンの奥でスワニルダがコッペリア人形の衣装に着替える様子を映し出す。バレエファンなら、スワニルダがコッペリア人形になりすますお話を知っているけれど、初めてバレエを観る方はそんなことは知らない可能性が高い、こうすれば誰にでも物語が容易に理解できるだろう。
また、3幕の結婚式のディヴェルティスマンは、祈り、結婚、戦いといった形ではプログラムに表記されていない。どれも友人たちなど1幕から二人に関わりのある登場人物が結婚式のお祝いに余興のように踊るという考え方で組み立てられている。なかには、1幕で登場するジプシーたちの踊りもあり、これは『コッペリア』の曲と同じ作曲者であるドリーブの「泉」からの曲。結婚の踊りは、スワニルダが投げたブーケを友人が受け取って踊り出すといったさりげない演出も自然で楽しい。
物語を噛み砕いた上で、誰もが気軽に楽しめる舞台にと重ねられた工夫が、とても興味深い舞台だった。
(2018年4月14日 東リ いたみホール)

osaka1805b_0306.jpg スワニルダ:今中亜莉沙 撮影:田中聡(テス大阪)
osaka1805b_0806.jpg 『コッペリア』撮影:岡村昌夫(テス大阪) osaka1805b_2305.jpg スワニルダ:今中亜莉沙、コッペリウス:郷原信裕 撮影:田中聡(テス大阪)
osaka1805b_3070.jpg スワニルダ:中山恵美子、コッペリア:山口晶子 撮影:岡村昌夫(テス大阪) osaka1805b_3693.jpg スワニルダ:中山恵美子 撮影:岡村昌夫(テス大阪)
osaka1805b_2475.jpg スワニルダ:今中亜莉沙 撮影:田中聡(テス大阪) osaka1805b_3944.jpg スワニルダ:中山恵美子、フランツ:岡田兼宜 撮影:テス大阪