伸び盛りのジュニアたちによるオープニングで『海賊』より花園、『雷鳴への連禱』を上演──ひょうご洋舞フェスティバル

ふれあいの祭典2017 「ひょうご洋舞フェスティバル」

「オープニング」泉ポール:振付、『海賊』より花園 山口けい子・塚本千里:再振付、『雷鳴への連禱』加藤きよ子:振付

例年、見応えのある演目を観せてくれる兵庫県洋舞家協会の「ひょうご洋舞フェスティバル」。今年はオープニングも数えて3演目、すべて同協会の実力派が振付けた舞台となった。まず幕開けの『オープニング』は泉ポール振付、ヘンデルの音楽にのせて、パリ・オペラ座バレエのデフィレを思わせる白いチュチュに身を包んだ小学5年生から中学2年生まで、ジュニアの年齢の女の子たちが踊った。きちんと基礎をていねいに積み重ねている子たちばかりが選ばれており、スタイルの良い子も多く、笑顔も良い。これからの成長が楽しみな子どもたちだ。

「オープニング」撮影:古都栄二(テス大阪)

「オープニング」撮影:古都栄二(テス大阪)

次には、山口けい子と塚本千里の再振付で『海賊』より花園。花園の場面に、2幕のグラン・パ・ド・ドゥを組み合わせてアレンジしたものだった。花園のメドーラは藤井真理子、優しげでチャーミングな魅力が良い。一方、2幕のグラン・パ・ド・ドゥのメドーラを今井智也をパートナーに踊ったのは藤本瑞紀。大人の気品を持ち、輝きが自然と出て引きこまれた。また、グルナーラの長尾美花は知性を感じさせる踊り、コール・ド・バレエも華やかに舞台を盛り上げていた。

『海賊』より花園 オダリスクⅠ:重坂紗知子、オダリスクⅡ:砂川裕菜、オダリスクⅢ:吉田裕香 撮影:古都栄二(テス大阪)

『海賊』より花園 オダリスクⅠ:重坂紗知子、オダリスクⅡ:砂川裕菜、オダリスクⅢ:吉田裕香 撮影:古都栄二(テス大阪)

『海賊』より花園 メドーラ:藤井真理子 撮影:岡村昌夫(テス大阪)

『海賊』より花園 メドーラ:藤井真理子 撮影:岡村昌夫(テス大阪)

『海賊』より花園(グランパ・ド・ドゥ挿入)メドーラ:藤本瑞紀、コンラッド:今井智也 撮影:古都栄二(テス大阪)

『海賊』より花園(グランパ・ド・ドゥ挿入)メドーラ:藤本瑞紀、コンラッド:今井智也 撮影:古都栄二(テス大阪)

『海賊』より花園 グルナーラ:長尾美花 撮影:岡村昌夫(テス大阪)

『海賊』より花園 グルナーラ:長尾美花 撮影:岡村昌夫(テス大阪)

『海賊』より花園 撮影:古都栄二(テス大阪)

『海賊』より花園 撮影:古都栄二(テス大阪)

そして最後は、加藤きよ子振付による『雷鳴への連禱』。自然への畏れ、祈り、感謝を込めてVeljo Tormisがエストニア民謡を多様に取り入れて作曲した歌曲集からの音楽に乗せてのモダンダンス。自然の脅威のみならず、戦禍によっての荒廃なども含め、大切な人を失った多くの人の悲しみと、そこから私たち人間がどう進むべきなのかを考え、"連禱"──祈りつなぐように描いた。若者役の大西慎哉が"視点"となって、世の中を見つめていく。河邉こずえ、嵯峨根結実、長尾奈美、三好美希子、山本留璃子といったレベルの高いモダンダンサーたちの踊りの迫力が全体を締めたのはもちろん、貞松愛香を中心に、中学生くらいの少女たちの透明感のある素直な踊りも、未来への方向を示すようでスッと心に入って来た。
(2017年11月4日 兵庫県立芸術文化センター)

『雷鳴への連禱』大西慎哉、貞松愛香、ほか  撮影:岡村昌夫(テス大阪)

『雷鳴への連禱』大西慎哉、貞松愛香、ほか  撮影:岡村昌夫(テス大阪)

『雷鳴への連禱』撮影:岡村昌夫(テス大阪)

『雷鳴への連禱』撮影:岡村昌夫(テス大阪)

ワールドレポート/大阪・名古屋

[ライター]
すずな あつこ

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