ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

From Osaka Nagoya <大阪・名古屋>: 最新の記事

From Osaka Nagoya <大阪・名古屋>: 月別アーカイブ

すずな あつこ text by Atsuko Suzuna 
[2017.11.10]

『コッペリア』と能『井筒』をモチーフにサイトウマコトが振付けた『And Now,And Here......IZUTU』など、環バレエ公演

環バレエ団、環ジュニアバレエ団「初秋のバレエコンサート」
『パ・ド・キャトル』環佐希子:振付、『And Now,And Here……IZUTU』サイトウマコト;振付、『コッペリア』環佐希子、穴見志保己;振付

今年の環バレエ団&環ジュニアバレエ団の「初秋のバレエコンサート」は、『コッペリア』全幕を中心に、『パ・ド・キャトル』、サイトウマコト;『And Now,And Here……IZUTU』とバランスの取れたプログラムだった。

まず幕開けの『パ・ド・キャトル』、タリオーニを米田くるみ、グリジを福井一菜、グラーンを宮田愛里、チェリートを米田真理と、伸び盛りの若手がキャスティングされていた。それぞれの個性を活かしながら、あの版画を再現したようにロマンティックに踊る。なかでも、タリオーニの米田くるみは、夢の中にいるようなフワッとした表情を終始漂わせ、不思議な空気に包まれたように踊ったのが印象的だった。

osaka1711c_0030.jpg 『パ・ド・キャトル』
タリオーニ:米田くるみ、グリジ:福井一菜、グラーン:宮田愛里、チェリート:米田真理
osaka1711c_2202.jpg 『And Now,And Here……IZUTU』作田みどり

次に上演されたのはコンテンポラリー。サイトウマコト振付の『And Now,And Here……IZUTU』だ。フィリップ・グラスのヴァイオリン協奏曲「時」と「場」(And Now,And Here)をテーマに、能の『井筒』をモチーフに創った作品だという。『井筒』の元となる伊勢物語の二十三段「筒井筒」の「男(在原業平)が他の女(高安の女)のもとに足しげく通うようになる」という場面も加え、3人の女たちが同じ「場」(井戸)で、ひとりの女(井筒の女)のさまざまな「時」を踊り、そこに高安の女と男(在原業平)が絡む。
まず、男と仲の良い幼馴染みの女(幻)を踊った池田由希子の少女らしいピュアな雰囲気が良い。夫婦となり夫が浮気をするが夫を信じる妻(幻)は永瀬玲子で、大人の葛藤を静かに表現、死してなお男を慕い男との思い出の井戸のそばに佇む女(霊)は作田みどり、さすがに迫力があり凄みを持った踊りで引きこんだ。そして、幻である高安の女は米田くるみで、まだ若いながら役に入り込んでの表現が印象的。幻であり霊でもある男(在原業平)は宮原由紀夫、全体の軸となる存在をしっかりとつとめていた。

最後は『コッペリア』全幕。スワニルダの西藤愛乃は、まだ経験が少ないせいか荒削りな面もあるものの、素直にそれぞれの場面を演じていて好感が持てた。フランツの上村崇人とともに、若さを活かしたフレッシュな魅力のスワニルダ&フランツだった。コッペリウスは岡田兼宜で、変人は変人なのだけど、憎めないおちゃめでひょうきんなおじさんという感じ、またコッペリア人形(米田くるみ)は、最後に命を得て……ハッピーエンドが微笑ましかった。
(2017年9月23日 大阪メルパルクホール)

osaka1711c_0257.jpg 『And Now,And Here……IZUTU』
永瀬玲子、米田くるみ、宮原由紀夫
osaka1711c_0195.jpg 『And Now,And Here……IZUTU』
池田由希子、作田みどり、宮原由紀夫
osaka1711c_8059.jpg 『コッペリア』
スワニルダ:西藤愛乃、フランツ:上村崇人
osaka1711c_8030.jpg 『コッペリア』
撮影:岡村昌夫(テス大阪)(すべて)