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すずな あつこ text by Atsuko Suzuna 
[2017.09.11]

野間景改訂振付『ドン・キホーテ』──キトリを荒瀬結記子、バジルを正富黎はじめ、適材適所のキャスティング

野間バレエ団
『ドン・キホーテ』野間景;改訂振付

野間バレエスクール創立50周年記念で、野間バレエ団の第25回定期公演という記念の年の舞台。何度もキトリを踊っている野間景が、今回は改訂振付を手掛けての上演となった。キトリ&バジルは荒瀬結記子&正富黎。二人とも、この団体で育ったダンサーでヨーロッパでのダンサー経験も持っている。正富は今もチェコのThe National Moravian-Silesian Theatreで活躍中だ。

osaka1709b_01.jpg 荒瀬結記子、正富黎 撮影:テス大阪

荒瀬のキトリは、バレエテクニックはもちろん高いものがあって、それを活かしたスムーズな動きが観ていて心地よい。キトリは明るく元気でお転婆で、というイメージの役柄だが、彼女の場合は、そこに穏やかな人柄の魅力が加わるよう。また、正富のバジルも、高いテクニックをシャープに楽しませるのはもちろん、チャーミングでバジルにとても合う雰囲気、観ていて気持ちの良い伸びやかさがあり、今、一番の伸び盛りのように感じられた。
そして、野間景の改訂振付は、ダンサーの新たな魅力を観せてくれるなと、いつも思う。昨年もそうで、昨年の『ラ・フィーユ・マルガルデ』では、母シモーヌを青木崇が踊り、いつも王子役で素晴らしい彼がコミカルな演技でノリノリに楽しませてくれた。そして今回は、恵谷彰のガマーシュが秀逸。登場後すぐに、コミカルなしぐさながら、美しい甲をみせての足の動きに「エッ、こんな美しく甲を見せられるのはただものじゃない、このガマーシュは誰?」と、目を引いた。高いバレエ・テクニックは、こんな風にも使えるんだと、その振付のセンスに拍手を送りたい。
ドン・キホーテの北村俊介、サンチョ・パンサの井村祐介の演技もよく組み立てられていた。また、ロレンツォの糸瀬公二はアンサンブル・ゾネのコンテンポラリー・ダンサーでクラシック・バレエに出演することは、これまでなかったようだが、彼の適性を見込んでのキャスティング。狂言自殺の後二人を許すところはもうちょっとオーバーで良かったのではと思うものの、全体に自然な演技で好感が持てた。
このバレエ団出身でベラルーシで活躍する待山貴俊もエスパーダで出演、メルセデスの宇多田采佳とともに、スペインの魅力の踊りを楽しませた。 
(2017年7月29日 ソフィア・堺ホール)

osaka1709b_02.jpg 撮影:古都栄二(テス大阪) osaka1709b_03.jpg 宇多田采佳 撮影:古都栄二(テス大阪)
osaka1709b_04.jpg 撮影:古都栄二(テス大阪) osaka1709b_05.jpg 撮影:古都栄二(テス大阪)
osaka1709b_06.jpg 撮影:古都栄二(テス大阪) osaka1709b_07.jpg 撮影:テス大阪
osaka1709b_09.jpg 荒瀬結記子、正富黎、北村俊介、井村祐介 撮影:テス大阪