ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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すずな あつこ text by Atsuko Suzuna 
[2017.06.12]

5回目のPDA──実力派男性ダンサーたちに釘付けになった『Here we are!』

PDA(Professional Dancers' Association)
『Here we are!』島﨑徹:演出・振付

この公演は『EXTRAVAGANZA(豪華絢爛)』とも告知されていたが、確かにその表現に恥じない素晴らしいものだった。グイグイ惹きつけられて、アッという間に終わってしまった。もっと観たいと切実に思う舞台。私に限らず、観客はみんなそう感じたのではないだろうか?──スタンディング・オベーションでの終演。休憩なしに激しく踊ったダンサーたちにとっては、体力の限界スレスレだったことだろう。それでも、アンコールでまで繰り返し踊ってくれた彼らは、全身全霊でこの舞台に取り組んでいたことが強く伝わってきた。

osaka1706a_0045.jpg 『Here we are!』撮影:岡村昌夫(テス大阪)

先輩格の樫野隆幸の呼びかけで男性プロダンサー達が集うPDA(Professional Dancers' Association)の公演も、これが5回目。これまでは、3作品程度の作品を順に上演する形が多かったが、今回は18人の出演者全員で一つの作品、島﨑徹振付の『Here we are!』に取り組んだ。

osaka1706a_1101.jpg 『Here we are!』撮影:岡村昌夫(テス大阪)

『Here we are!』は、島﨑徹が教授を務める神戸女学院音楽学部舞踊専攻の公演で、毎年、新入の1年生と2年生が踊る作品。私が初めてこの作品を観たのは1期生が神戸女学院内で踊って観せてくれた時だったのを懐かしく思い出す。神戸女学院公演では、18歳前後で入学した女子学生が、その年代だからこその瑞々しい若さを武器に、女性が身につけてしまいがちな飾り気などの余計なものを潔くかなぐり捨てるように、全身全霊をかけて力いっぱい踊る。それが、とても眩しく、大好きな作品と長年感じてきた。
その作品を男性が、しかも、クラシック・バレエの世界で日本トップクラスと言える男性たちが踊るとどうなるのだろう?──とても興味深く、劇場に足を運んだ。“飾り気を脱ぎ捨てる”、“力いっぱい”は、共通、それに“全身全霊”で取り組んでいるのも、女学院と同じだ。だが、さすがに、クラシック・ダンサー達、ピッタリ揃うところは見事に揃う。息も揃っている感じ、そして男性だからこその筋肉を活かしたジャンプ力などの身体能力の高さもさすが。新入生の女の子のような初々しさはないけれど、そう、質の良いコンテンポラリー作品の良さって、踊るダンサーによって、こんなにも違う魅力が出ることなんだとあらためて。

osaka1706a_0316.jpg 『Here we are!』撮影:岡村昌夫(テス大阪)

上演時間もこれまで観た『Here we are!』より長めで1時間20分ほどだっただろうか? 彼らだからこそのシーンが挟み込まれていた。特に面白かったのは、イス取りゲームで座れなかった人の罰ゲーム。上から、クラシックのヴァリエーションの名前がズラッと書かれたボードが出てきて、罰ゲームになってしまった人は、観客に向かって、自身の思い出など自己紹介的に語るなどした後、「どれが良いですか?」と観客に聞いたり、自分が決めたりして踊る。踊り終えると、樫野がスーツ姿で点数のボードを持って現れる。私が観た日は、まず東文昭、北村俊介が踊り、続いて、宮原由紀夫が、クラシックのヴァリエーションではなく、母の日にちなんだ赤いかっぽう着(?)姿で「バラが咲いた」を歌い、最後は青木崇が「「タリスマン」のヴァリエーションを踊って、100点を獲得。ちょっと身内ネタっぽいけれど、観客はバレエ関係者が多かったこともあり、かなり盛り上がった。
そしてもちろん、精神を研ぎ澄ますような群舞や、最後、体力の限界を試されるようなメインフレーズの繰り返し。ダンサー達全員の心が一つになっていることがまっすぐに伝わってきた。
(2017年5月14日 森ノ宮ピロティホール)

osaka1706a_1170.jpg 末原雅広 撮影:岡村昌夫(テス大阪) osaka1706a_1298.jpg 青木崇 撮影:岡村昌夫(テス大阪)
osaka1706a_1329.jpg 撮影:岡村昌夫(テス大阪) osaka1706a_2020.jpg 撮影:岡村昌夫(テス大阪)
osaka1706a_2078.jpg 宮原由紀夫 撮影:岡村昌夫(テス大阪) osaka1706a_2153.jpg 撮影:岡村昌夫(テス大阪)