ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

From Osaka Nagoya <大阪・名古屋>: 最新の記事

From Osaka Nagoya <大阪・名古屋>: 月別アーカイブ

すずな あつこ text by Atsuko Suzuna 
[2017.05.10]

15回目の記念の舞台──カンパニーでこぼこらしく、初めてバレエを観る人も親しみやすい『くるみ割り人形』

カンパニーでこぼこ
『くるみ割り人形』脇塚力;演出・振付

2005年2月に、脇塚力の呼びかけで旗揚げしたカンパニーでこぼこ。バレエ団ではなく、演劇のプロデュース公演のように、所属の違うダンサーが集って踊る舞台で、独特の工夫に満ちていてとても新鮮だった。第1回公演『コッペリア』の、西田佑子がスワニルダ、脇塚がフランツを踊ったチャーミングな公演は、今も眼に残る。

osaka1705a_01320.jpg 佐藤智美、岡田兼宜
撮影:田中 聡(テス大阪)

そのカンパニーでこぼこが毎年1〜2回の公演を重ね、今回は、なんと15回目。気が付けば、私は15回すべてを観ているのだった。そんな節目の今回、兵庫県立芸術文化センターKOBELCO大ホールの大きな舞台で、初めてオーケストラの生演奏で上演した。指揮は守山俊吾、テアトロ・バレエ・Orchestra大阪の演奏だ。守山が指揮をするシンフォニー・ホールの新春コンサートに、カンパニーでこぼこのダンサーたちが出演しているという縁もあり、気持ちが通じ合った演奏であることが感じられた。

クララを踊ったのは今中亜莉沙、表情がクルクル変わるポップな魅力を持ったクララ、こういうクララが “でこぼこ” らしいなぁ、と思う。バレエを観るのが初めての子どもが観ても、きっと自然に彼女に同化して物語に入っていけそう。フリッツの松田えりかも演技派。そして、お客様家族役にもそれぞれ職業やプロフィールがあって、その写真付き“相関図”がプログラムとともに配られ、ロビーにも掲示されていたのも面白い。脇塚は、くるみ割り人形役なのだが、彼はパーティーシーンでは使用人の役も良い味を出して担っていた。

osaka1705a_00338.jpg 今中亜莉沙、ディビッド・デ・ピューリー、松本章一郎
撮影:田中 聡(テス大阪)

大きくなるだけでなく、家具もどんどん大きくなる。ねずみもクララより大きくて、つまりはクララが小さくなって、不思議な世界が始まることが表現される。ねずみと兵隊の戦いシーンでは、ボクシングのリングが現れたり、飽きさせない展開だった。そして、雪のシーンの前には、チャイコフスキーの劇中付随音楽『雪娘』からの楽しげな曲が挿入され、クララとくるみ割り人形を中心に、子供たちも楽しげに喜びいっぱいに踊る。その後には、聴き慣れた雪の曲、コーラス付きでコール・ド・バレエも美しく、中心の中山恵美子の優しげな雰囲気が良かった。

2幕のお菓子の国も、それぞれのダンサーの魅力が発揮されていた。
そして、やはり、圧巻は最後の金平糖のグラン・パ・ド・ドゥ。踊ったのは佐藤智美と岡田兼宜。岡田の的確なサポートはもちろんなのだが、とにかく、佐藤の踊りにうっとりさせられた。スコティッシュ・バレエで長年プリンシパルをつとめた彼女のロイヤル・スタイルの気品ある踊り。凜とした知性的な魅力に柔らかさが加わって、本当に夢見心地にさせてもらった。まだ、日本で彼女を観る機会が少ないように思うが、スコティッシュ・バレエのプリマを務めた日本人女性が、次々と日本でも活躍しているように思える今、佐藤のさらなる活躍も観たいと思う。
(2017年4月28日 兵庫県立芸術文化センターKOBELCO大ホール)

osaka1705a_8040.jpg 雪:中山恵美子、郷原信裕ほか 撮影:田中 聡(テス大阪) osaka1705a_00610.jpg 今中亜莉沙、脇塚力 撮影:田中 聡(テス大阪)
osaka1705a_00092.jpg お客さまたち 撮影:金原優美(テス大阪) osaka1705a_00109.jpg 今中亜莉沙、松田えりか 撮影:金原優美(テス大阪)
osaka1705a_00154.jpg 撮影:金原優美(テス大阪) osaka1705a_01010.jpg 藤原淑子、福井友美、松田えりか、岡田倖奈
撮影:金原優美(テス大阪)
osaka1705a_02245.jpg 永山太加宏 撮影:田中 聡(テス大阪) osaka1705a_8057.jpg 撮影:田中 聡(テス大阪)