ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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すずな あつこ text by Atsuko Suzuna 
[2017.01.10]

オーディションで選ばれた京都ゆかりのダンサーたちが踊った深川秀夫版『白鳥の湖』

ロームシアター京都
『白鳥の湖』深川秀夫;構成・演出・振付

ロームシアター京都のオープニング事業の一環として、所属を超えてオーディションで選ばれたダンサーたちが踊る深川秀夫版『白鳥の湖』が上演された。演奏は、園田隆一郎指揮、京都市交響楽団。公共的な劇場で、地元を中心に活躍するダンサーたちと地元の交響楽団が力を合わせてバレエを上演するというのは、バレエの故郷・ヨーロッパでは当たり前のことだろうけれど、日本ではまだあまり機会がない。それが、京都で実現したのはとても喜ばしいことだと思う。

osaka1701a_00435.jpg オデット:井澤照予、王子:青木崇
撮影:岡村昌夫(テス大阪)

200名を超える応募者から選ばれたという出演ダンサーたちは、さすがに実力派揃い。
オデットの井澤照予は、これまで『コッペリア』のスワニルダや『フェアリードール』のタイトルロールなどでのチャーミングな魅力が印象深いダンサー。悲劇のヒロインをどう踊るのか興味深かった。観てみて、まず、華奢で透明感のある雰囲気はオデットに合うと感じた。一方、彼女の場合、悲劇的な運命を嘆くというよりも、幸せな少女が突然白鳥に変えられるという状況に戸惑うという感じ。そしてそれを素直に受け入れて生き、その中で王子に恋をして──絶望する。彼女独特のオデットだと感じた。
王子の青木崇は、さすがにノーブルで高いテクニックも鮮やか。あらためて、今、関西在住の男性ダンサーの中で、もっとも王子に合うのが彼なのではないかという気がした。梶田眞嗣の演技はもちろん踊りもよく存在感の大きなロッドバルトも良かったし、オディールの矢部希実加の華やかな魅力、フェッテ・アン・トゥールナンなどの回転技の鮮やかさもなかなか。
また、別に特に印象に残った脇役が一人、王妃の真忠久美子だ。美しく気品が溢れる身のこなし、さすがに多くの舞台をこなしてきた人だからこそ、と思える場面のなかで流れるような演技。うっとりと見つめてしまう王妃だった。
コール・ド・バレエも所属が違うダンサーたちながら、息のあったものになっていた。特に4幕の深川振付独特の、両腕を後ろにしながら集団でロットバルトとオディールを追い詰めるシーンの動物的な迫力は息をのむもの。各ディベルティスマンも適材適所で全幕を通して楽しんだ。
(2016年11月20日 xロームシアター京都メインホール)

osaka1701a_02803.jpg 井澤照予、矢部希実加、梶田眞嗣
撮影:岡村昌夫(テス大阪)
osaka1701a_02764.jpg 井澤照予、矢部希実加、青木崇、梶田眞嗣
撮影:岡村昌夫(テス大阪)
osaka1701a_01042.jpg 井澤照予、矢部希実加、青木崇、梶田眞嗣
撮影:文元克香(テス大阪)
osaka1701a_02710.jpg オディール:矢部希実加、王子:青木崇
撮影:岡村昌夫(テス大阪)
osaka1701a_01095.jpg 撮影:岡村昌夫(テス大阪) osaka1701a_01076.jpg 撮影:岡村昌夫(テス大阪)
osaka1701a_01153.jpg 撮影:岡村昌夫(テス大阪) osaka1701a_01176.jpg 撮影:岡村昌夫(テス大阪)