ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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すずな あつこ text by Atsuko Suzuna 
[2016.10.11]
From Osaka -大阪-

マトヴィエンコ夫妻、キエフ・バレエ、バレエ学校からダンサーを招いた『くるみ割り人形』ほか

寺田バレエ・アート・スクール「日本とウクライナの若きアーティストたち」
『くるみ割り人形』『ゴパック』高尾美智子;総芸術監督、寺田宜弘;芸術監督

今でこそ、海外とのバレエ交流をする団体も増えてきたけれど、旧ソ連時代の1975年からキエフ国立バレエ学校と姉妹校としての交流を続けてきた寺田バレエ・アートスクール。創立者の寺田博保と高尾美智子の子息・寺田宜弘が1987年からキエフ国立バレエ学校に国費留学生として留学し、1年生から8年生まで正規の課程を経て卒業、キエフ・バレエに入団して活躍したことをご存じの方も多いだろう。彼は現在、キエフ国立バレエ学校の芸術監督でもあり、今回、バレエ学校から優秀な生徒をクララやフリッツ役に招いた。また、彼のバレエ学校時代からの友人デニス・マトヴィエンコとその夫人アナスタシア・マトヴィエンコは金平糖の精と王子役。おまけに、まだヨチヨチ歩きの彼ら(マトヴィエンコ夫妻)の娘が最後のゴパックに登場したのもとても可愛らしく、家族ぐるみの付き合いが続く中での温かみを感じる舞台となった。

osaka1610d_1105.jpg アナスタシア・マトヴィエンコ、
デニス・マトヴィエンコ
撮影:和田北斗 (テス大阪)

幕開けのクララ&フリッツがキエフ国立バレエ学校生徒のエーワ・グリチャクとニキータ・ボタルチュク。子供らしさが自然で元気なクララが可愛らしい。ドロッセルマイヤーは寺田宜弘、黒髪で独特の雰囲気を持って好演。1幕後半からはキエフ・バレエのダンサー、カテリーナ・チュピナがクララ、くるみ割り人形をコンスタンチン・パジャルニツキー。正確な基礎に基づいた滑らかな踊りが良い。また、雪のシーン、雪の女王を踊った石川直実のスケールの大きさを感じる存在感のある踊りも印象に残った。

そして2幕は、さまざまなディヴェルティスマンを楽しんで、デニス&アナスタシア・マトヴィエンコのグラン・パ・ド・ドゥへ。身体の条件も恵まれた二人、端正で正確、漂う香りもあり、二人の美しい脚を観ているだけでもうっとりとする。また、喜びや華やかさが感じられる上に繊細さももった金平糖のヴァリエーションがとても素敵だった。

最後は、ウクライナの民族舞踊『ゴパック』。『ゴパック』というと、男性のヴァリエーションだけがガラなどで上演されるのを思い出す方が多いかも知れないが、ここで上演されたのは男女ともに出演の群舞を含むもの。ひまわりの花が咲き誇る背景の前で、頭に花飾りの女性たち、民族衣装の男女──大地の恵みに感謝する農業国らしい明るく素朴な踊りで、ウクライナと日本のダンサーがともに盛り上げて幕を閉じた。
(2016年8月13日  ロームシアター京都メインホール)

osaka1610d_1020.jpg 撮影:古都栄二 (テス大阪) osaka1610d_0950.jpg チュピナ、パジャルニッキー
撮影:古都栄二 (テス大阪)
osaka1610d_0561.jpg 『くるみ割り人形』撮影:古都栄二 (テス大阪) osaka1610d_0282.jpg エーワ・グリチャク、寺田宜弘
撮影:古都栄二 (テス大阪)
osaka1610d_0249.jpg ドミトリー・チボタール、二木彩乃
撮影:和田北斗 (テス大阪)
osaka1610d_0234.jpg 小堀栄奈、ビタリー・ネツルネンコ
撮影:古都栄二 (テス大阪)
osaka1610d_0076.jpg 『くるみ割り人形』クララ:エーワ・グリチャク
撮影:古都栄二 (テス大阪)
osaka1610d_1372.jpg 『ゴパック』撮影:古都栄二 (テス大阪)