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すずな あつこ text by Atsuko Suzuna 
[2016.05.10]
From Osaka -大阪-

演技も技術も兼ね備えた実力派の二人、楠本理江香のキトリと青木崇のバジル──

本田道子バレエ団
『ドン・キホーテ』深川秀夫;振付

実力派のヴェテランダンサー楠本理江香と青木崇が主演した『ドン・キホーテ』。さすがに物語に引き込む芝居心がこなれていたとともに、深川秀夫による演出・振付もダンサーたちに合う工夫が随所に散りばめられていて楽しめる舞台に仕上がっていた。

osaka1605a_A0122.jpg キトリ:楠本理江香、バジル:青木崇
撮影:OfficeObana:尾鼻文雄(すべて)

キトリの楠本は1幕の登場から明るく、そしてちょっと荒々しい雰囲気もあり、街のお転婆娘という感じで、粋な魅力が良い。加えて、夢の場のドルシネアではきっちりとしたバレエ技術を活かしてクラシック・バレエのお姫様を、3幕では成熟した大人だからこその魅力が感じられる幸せそうなグラン・パ・ド・ドゥだった。バジルの青木もさすがに舞台数を重ねた上での演技力、表現力、高テクニックを活かしたひねりを入れたジャンプなどの鮮やかな技をみせた。二人ともが高いレベルのバレエテクニックと演技力、表現力を、とても自然に使って全幕を進めていて素直に楽しめた。
また、深川の演出は、二人の魅力だけでなく、ほかのダンサーたちの魅力も引き出すもの。エスパーダ(吉田旭)は、深川独特の“牛”を思わせる動きも入れた振り。また、メルセデス(木岡多真美)の1幕の踊りは、トレアドールだちがナイフを床に突き刺すのではなく、グラスを床に置くおしゃれな雰囲気だった。木岡のイキイキと華のある踊りも良かった。ジプシーの女の平林万里は、美しい首、柔らかな背中を活かした踊りで印象的。夢の場の森の女王の麻生川薫は知的で優しく、キューピットの西川葵は華奢でチャーミング、それぞれ役に合っていた。3幕の結婚式には友人のヴァリエーションが5つ。吉田あやな、木岡多真美、入口舞、松本真由美、堀川賀代がそれぞれに合った深川のオリジナリティを活かした振付で楽しませてくれた。
ドン・キホーテ役の梶原将仁の場を運んでいく演技力、玉浦誠の踊りの魅力も活かしてのサンチョ・パンサも印象に残った。
(2016年4月1日 フェスティバルホール)

osaka1605a_A1181.jpg ドルシネア姫:楠本理江香 osaka1605a_A0594.jpg キトリ:楠本理江香、バジル:青木崇
osaka1605a_A0244.jpg メルセデス:木岡多真美 osaka1605a_A0480.jpg キトリの友人:堀川賀代、吉田あやな
osaka1605a_A0761.jpg ジプシーの女:平林万里 osaka1605a_A1442.jpg キトリ:楠本理江香、バジル:青木崇
osaka1605a_A1083.jpg ドルシネア姫:楠本理江香、
森の女王:麻生川薫、キューピット:西川葵
osaka1605a_A1023.jpg ドルシネア姫:楠本理江香、
ドン・キホーテ:梶原将仁、サンチョ・パンサ:玉浦誠
osaka1605a_A8031.jpg 撮影:OfficeObana:尾鼻文雄(すべて)