ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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すずな あつこ text by Atsuko Suzuna 
[2016.02.10]
From Osaka -大阪-

雪のシーンが特に圧巻だった──2ヴァージョンで上演された『くるみ割り人形』

貞松・浜田バレエ団
『くるみ割り人形』貞松正一郎、長尾良子:振付

貞松・浜田バレエ団の『くるみ割り人形』は、今回も “お伽の国ヴァージョン”と “お菓子の国ヴァージョン”、という演出・振付を変えた2つのヴァージョンが上演された。さまざまな個性を持った実力派のダンサーが、それぞれの持ち味を活かしながらレベルの高い舞台を創り上げていた。

osaka1602a_1023.jpg お伽の国ヴァージョン
撮影:古都栄二(テス大阪)ン

まず、19日の “お伽の国ヴァージョン” は、クララ(清田奈保)とくるみ割りの王子(塚本士朗)を、お伽の国の女王&王(瀬島五月&アンドリュー・エルフィンストン)が迎えてグラン・パ・ド・ドゥを踊る形。迎えられたクララは、花のワルツの中心でドレスが変化するなど、魔法に掛かったような楽しい時を過ごすという演出。貞松正一郎が踊るドロッセルマイヤーが黒ではなくブルーの衣裳でノーブルに進めるのも特徴だ。清田のクララは明るくおきゃんなところのある親しみやすい女の子、元気でバネのある動きのフリッツ役・幸村恢麟とともに子どもらしい無邪気さ表現しながら1幕を運んだ。塚本の王子は優しげで、クララとのパ・ド・ドゥはとても伸びやか。そして1幕最後の雪のシーンが、とにかく圧巻だった。雪の女王と王の廣岡奈美と武藤天華を中心にコール・ド・バレエの隅々までバレエ技術がしっかりしたダンサー達。複雑な隊形変化をスピーディに見せ、鮮やか、思わず「ワァッ!」とつぶやいてしまうような見事さだった。
2幕は、キレの良い動きを活かした正木志保と川村康二のロライロ&エスパーダ、美しく憂いある佐々木優希と桑田充のシェヘラザード、スタイルの良い美人揃いでおしゃれでコミカルなパリジェンヌ(山口益加、竹中優花、廣岡奈美、川﨑麻衣、村田絵里子、上山榛名)&ピエロ(幸村恢麟)、可愛らしく軽快な上村未香と水城卓哉のファーメイ、空中にとどまっているのかと思わせる恵谷彰を中心としたトレパークなど、それぞれの持ち味を活かしたディベルティスマン。そして瀬島とアンドリューのグラン・パ・ド・ドゥは大人の輝きに満ちて豪華。見応えに満足できるものだった。

osaka1602a_1158.jpg 瀬島五月、アンドリュー・エルフィンストン
撮影:古都栄二(テス大阪)
osaka1602a_0332.jpg 清田奈保、貞松正一郎
撮影:古都栄二(テス大阪)
osaka1602a_0679.jpg 撮影:古都栄二(テス大阪) osaka1602a_0189.jpg 清田奈保 撮影:古都栄二(テス大阪)
osaka1602a_0655.jpg お伽の国ヴァージョン 雪の女王:廣岡奈美 撮影:古都栄二(テス大阪)

翌日、20日は、クララの川﨑麻衣とくるみ割りの王子の水城卓也が、最初から最後のグラン・パ・ド・ドゥまでを踊る “お菓子の国ヴァージョン”。ドロッセルマイヤーはこのバレエ団の演技派・川村康二。川﨑はフワッと軽さを見せるなど、バレエだからこその繊細、清純な魅力を随所で表現できるダンサー。テクニックもあり主役を重ねる中で一歩一歩成長して魅力が増しているように感じられる。水城の王子もしっかりとしたバレエの基礎に基づいた高いテクニック、そして彼の優しく“お菓子”そのもののように甘い雰囲気が、この役にとても合う。これからまだまだ伸びそうな二人の魅力を満喫した。
(2015年12月19日、20日 神戸文化ホール大ホール)

osaka1602a_4144.jpg お菓子の国ヴァージョン 撮影:和田北斗(テス大阪) osaka1602a_6117.jpg 撮影:田中 聡(テス大阪)
osaka1602a_3263.jpg 川﨑麻衣、川村康二 撮影:田中 聡(テス大阪) osaka1602a_3580.jpg 撮影:田中 聡(テス大阪)
osaka1602a_4082.jpg 川﨑麻衣、水城卓哉 撮影:田中 聡(テス大阪) osaka1602a_1442.jpg 川﨑麻衣、水城卓哉 撮影:古都栄二(テス大阪)