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すずな あつこ text by Atsuko Suzuna 
[2015.07.10]
From Osaka -大阪-

杉山聡美が新たに振付けた『フランチェスカ・ダ・リミニ』他、法村友井バレエ団のトリプルビル

法村友井バレエ
『フランチェスカ・ダ・リミ二』杉山聡美:振付(原振付:友井唯起子)
『パキータ』法村圭緒:振付(原振付:マリウス・プティパ)『ボレロ』法村牧緒:振付

今回の法村友井バレエ公演は、タイプの違った3演目の上演。それぞれ魅力があったのだが、特に興味深かったのは『フランチェスカ・ダ・リミニ』。故・友井唯起子が振付けたこのバレエ団のオリジナル作品だが、友井の死後上演されることがなかったそうだ。

1507osaka-9784.jpg 『フランチェスカ・ダ・リミニ』
撮影:尾鼻文雄、尾鼻葵(全て)

ダンテの『神曲』地獄編に登場する中世の政略結婚にまつわる悲劇を読んだチャイコフスキーが作曲した、同名の曲に振付けたもの。ラヴェンナ領主グイド・ダ・ポレンタの娘フランチェスカ(法村珠里)は、マラテスタ家との争いを終わらせるために、リミニ領主ジョバンニ・マラテスタ(今村泰典)に嫁ぐことになる。だが、ジョバンニは勇猛だが容姿は醜かった。グイドは、フランチェスカがジョバンニを嫌ったことを知り、ジョバンニのハンサムな弟パウロ(今井大輔)を代わりにして結婚式を行わせた。恋に落ちるフランチェスカとパウロ……。
薄幸なヒロイン・フランチェスカを法村珠里がドラマ性を持って好演、パウロ役の今井もノーブルな雰囲気と技術をともなって伸び盛りであることを感じさせた。そして、ジョバンニの今村が、複雑な心の葛藤をよく表し、作品に深みを持たせたのはさすが。この3人のシーンはとても見応えのあるものに仕上がっていた。
加えて、愛の精、運命の精というコール・ド・バレエが登場するのだが、これは男女が組んで踊る振付を多用して杉山聡美が大きく改変。自然に心情を表す群舞が現代の感性で、現代のダンサーたちの実力を上手く活かして仕上がっているように見えた。

1507osaka_8035.jpg 1507osaka-9894.jpg
1507osaka_9837.jpg 『フランチェスカ・ダ・リミニ』
1507osaka_0158.jpg 『パキータ』

ほかの上演作は、幕開けには『パキータ』。ポロネーズとマズルカの少年少女の少年が、女の子が少年役をすることなく、きちんと男の子で、日本でも男の子がバレエをすることが、どんどん自然になっていることが喜ばしい。パキータ&ルシアンは、中尾早織&法村圭緒。中尾の知性を感じさせる凜とした魅力、法村圭緒の自然な気品が良い。ソリストもそれぞれ個性が活かされていた。
ラストは法村牧緒振付の『ボレロ』。スペイン舞踊の格好良さに通じる魅力を感じさせる振付。中心の堤本麻起子、中内綾美、今村泰典は、3人とも本当に素晴らしくスラッとしたプロポーション、とてもスタイリッシュな雰囲気に惹きつけられた。
(2015年6月7日 あましんアルカイックホール)

1507osaka_0212.jpg 『パキータ』 1507osaka_0121.jpg 『パキータ』
1507osaka_8019.jpg 『パキータ』 1507osaka_1052.jpg 『ボレロ』
1507osaka_1056.jpg 『ボレロ』 1507osaka_8048.jpg 『ボレロ』
撮影:尾鼻文雄、尾鼻葵(全て)