ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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すずな あつこ text by Atsuko Suzuna 
[2015.02.10]
From Osaka -大阪-

今年も「お菓子の国」と「お伽の国」版が上演された貞松・浜田バレエ団『くるみ割り人形』

貞松・浜田バレエ団
『くるみ割り人形』貞松融・浜田容子:演出、貞松正一郎・長尾良子:振付

貞松・浜田バレエ団の『くるみ割り人形』は、今年も“お菓子の国ヴァージョン”と“お伽の国ヴァージョン”が1日ずつ上演された。演出を変えて2夜連続で上演するのは、キャストもスタッフもたいへんだと思うが、それぞれ違った魅力で観る方としてはとても楽しい。私は両日、鑑賞した。

osaka1502a_3124.jpg 竹中優花、武藤天華
撮影:小林愛(テス大阪)

20日の“お菓子の国ヴァージョン”は、クララが最初からラストのグラン・パ・ド・ドゥまでを踊るヴァージョン。クララは、この役が3年目になる川﨑麻衣、川﨑は秋の『眠れる森の美女』のフロリナ王女役で文化庁芸術祭新人賞を受賞したばかり、今、まさに伸び盛りのダンサーだ。繊細で、押さえた動きに品があり、独特の香りも感じさせる彼女。加えてクララは、もう3年目とうことで、物語に自然に溶け込んで夢の世界に誘ってくれた。王子は、甘い雰囲気が王子にぴったりの水城卓哉。軽さがあって歌うような踊りがとても良い。
そして、このバレエ団が特に素晴らしいと私がいつも思うのは雪のシーン。レベルの高いコール・ド・バレエだからこそこなせる複雑な隊形変化をともなったスピーディーな踊りは本当に圧巻で、このシーンのクライマックスには自然に拍手してしまう。この日の雪の女王と王は瀬島五月とアンドリュー・エルフィンストンで、伸びやかな美しいライン、存在感が素晴らしかった。
21日の“お伽の国ヴァージョン”は、物語全体の主役であるクララをお伽の国の女王と王が迎えてグラン・パ・ド・ドゥを踊るヴァージョンで、それぞれのディヴェルティスマンも“お菓子の国”では、チョコレートやコーヒー、ゼリー、クッキーなどとなっているのに対して、こちらはロライロ&エスパーダ、シェーラザード、パリジェンヌ&ピエロなどとアレンジされている。今回、こちらのクララは主役デビューとなった清田奈保。普通の女の子の可愛らしさを見せながら自然に物語を運んでいて好感が持てた。お伽の国の王子の塚本士朗は、とても美しいパがさすが。また、こちらの雪の女王と王は上山榛名と大門智、チャーミングな魅力を感じた。
ディヴェルティスマンで特に印象に残ったのは、瀬島五月とアンドリュー・エルフィンストンを中心としたシェーラザード。エキゾティックでうっとりとした表情の踊りは妖艶な大人の魅力たっぷり。
そして、お伽の国の女王と王、竹中優花と武藤天華のグラン・パ・ド・ドゥ、優しげで本当に夢の国のお姫様がぴったりの竹中優花、やさしく彼女をエスコートする武藤天華、バレエテクニックも高く、メリハリが効いている上にスムーズで、この踊りが二人にとても合うことをつくづく感じた。
(2014年12月20日 お菓子の国ヴァージョン、21日 お伽の国ヴァージョン 神戸文化ホール大ホール)

osaka1502a_2335.jpg 清田奈保、貞松正一郎 撮影:正路隆文(テス大阪) osaka1502a_2687.jpg 清田奈保、塚本士朗、上山榛名、大門智、
井勝、秋山咲紀子、細川美森
撮影:正路隆文(テス大阪)
osaka1502a_2825.jpg 瀬島五月、アンドリュー・エルフィンストン
撮影:小林愛(テス大阪)
osaka1502a_0619.jpg 川﨑麻衣、水城卓哉、
瀬島五月、アンドリュー・エルフィンストン
撮影:古都栄二(テス大阪)
osaka1502a_0959.jpg 幸村恢麟、石濵孝典、岩崎達、
小森慶介、仲秋蓮太郎
撮影:小林愛(テス大阪)
osaka1502a_1176.jpg 川﨑麻衣、水城卓哉
撮影:古都栄二(テス大阪)
osaka1502a_0645.jpg 『くるみ割り人形』お菓子の国ヴァージョン 撮影:古都栄二(テス大阪)