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原 桐子 text by Hara Tohko 
[2014.11.10]
From Osaka -大阪-

瀬島五月のオーロラが輝いた、貞松・浜田バレエ団の豪華絢爛の『眠れる森の美女』

貞松・浜田バレエ団
『眠れる森の美女』貞松正一郎:振付、貞松融、浜田蓉子、マリウス・プティパ:原振付

貞松・浜田バレエ団、今秋の特別公演は『眠れる森の美女』。新国立劇場バレエ団での同役で出演が予定されている瀬島五月がオーロラ姫、アンドリュー・エルフィンストンがデジレ王子。同バレエ団の主軸ダンサーを主役に上演された。
オーソドックスながらも、純粋にクラシックバレエの華やかな踊りを堪能できる振付で適所にマイムや仕掛けがあり、バレエを見たことがない人や子供にもわかりやすく楽しめる演出だ。

1411osakab_‰0085.jpg 撮影:小林愛(テス大阪)

オーロラの命名式の日がプロローグとなっており、ひとつの幕としての数えてもよい位の長さで約40分にわたる。リラの精は竹中優花、カラボスは振付も行った貞松正一郎。
カラボスはハリウッド映画の『バットマン』を思わせるヘッドカバーに黒く長いドレス。ユーモアがあって存在感が独特の雰囲気。エスプリを感じるシャープでかっこいいカラボスだ。従者はこうもりの羽のようなマントに黒い仮面をつけている。従者たちは小気味よいトゥールザンレールでカラボスを引き立てていた。
1幕はお城で禁止されているはずの糸つむぎをする女たちが王と王妃に見つかり、あわや斬首刑になるところを王妃が怒り狂う王をなだめるところから始まる。
瀬島五月はとても優雅で気品あふれるオーロラ。ゆるやかで音楽に寄り添うようなアームス、ステップは美しく、4人の求婚者である王子たちに紹介されるところでは一瞬困ったような、恥じらう姿にお姫様である前にオーロラがまだ16歳の少女なのだ、という風に感じられ好感がもてる。ローズアダージオはとても品のあるアティテュードで柔らく音楽にのって踊っていた。

1411osakab_0641.jpg オーロラ姫:瀬島五月 撮影:古都栄二(テス大阪)

2幕は狩りの場面はなく、リラの精、オーロラの幻影、そしてデジレ王子のヴァリエーション。エルフィンストンの長身を生かしたこのソロはたっぷりとあり、見応えがある。リラの精に導かれオーロラの幻影と出会い、オーロラを求め探しに出かけるくだりまで、物語が途切れることなくリアルに描かれている。
カラボスはデジレ王子の登場にあきらめたかのようにすごすごと城を去っていく。
リラの精とカラボスの対決のシーンがあまり派手に演出されていなかった。個人的にはもう少し見てみたいと思ったが、この版ではそのまま3幕の結婚式に続くのが良いのかもしれない。
宝石の踊り、童話の主人公たち、アンサンブルによる華やかなディヴェルティスマン。印象に残ったのはブルーバードの2人、塚本士朗と川﨑麻衣。青い鳥とフロリナが全く同じ青色ではなく、グラデーションがかかって微妙に違う色合いの青を使ったセンスのよいコスチューム。川﨑は足のラインがとにかく美しい。
オーロラとデジレ王子のグラン・パ・ド・ドゥは、ベテランならではのパートナーシップでフィッシュダイブもきれいにかつ丁寧に決めていた。
多くのソリストを必要とするこの作品、実力ある多数のダンサーが在籍するバレエ団でないと上演がむずかしい。この豪華絢爛なグランドバレエを楽しめるバレエ団が在るために、関西のバレエファンは貴重な機会が得られている。次の公演を楽しみに待つとしよう。
(2014年10月5日 兵庫県立芸術文化センター KOBELCO 大ホール)

1411osakab_‰0320.jpg 撮影:古都栄二(テス大阪) 1411osakab_0527.jpg 撮影:古都栄二(テス大阪)
1411osakab_0571.jpg 撮影:古都栄二(テス大阪) 1411osakab_1084.jpg川﨑麻衣、塚本士朗 撮影:古都栄二(テス大阪)
1411osakab_‰1235.jpg 瀬島五月、アンドリュー・エルフィンストン
撮影:古都栄二(テス大阪)
1411osakab_0381.jpg 妖精カラボス:貞松正一郎 撮影:小林愛(テス大阪)
1411osakab_0824.jpg 撮影:小林愛(テス大阪) 1411osakab_‰1371.jpg 撮影:古都栄二(テス大阪)