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すずな あつこ text by Atsuko Suzuna 
[2014.09.10]
From Osaka -大阪-

古典からコンテンポラリーまで、それぞれに楽しい5演目が踊られた贅沢な舞台、有馬龍子バレエ団

有馬龍子記念京都バレエ団 “時を超えて” バレエコンサート
『レ・シルフィード』薄井憲二:再振付(ミハイル・フォーキン:原振付)、
『時の踊り』ナタリア・ボスクレシェンスカヤ、安達哲治:再振付(マリウス・プティパ:原振付)、
『タイス』ヤン・サイズ:振付、『ラソ 〜絆〜』矢上恵子:振付、
『卒業舞踏会』エリック・カミーヨ:再振付(ダヴィッド・リシーン:原振付)

とても贅沢な作品5演目を観た。幕開けの『レ・シルフィード』は薄井憲二の再振付。薄井は原型を知るリファールの直伝を知る人、その上での再振付だ。私が特に今回印象に残ったのは、シルフィードたちの幸せそうな微笑の魅力。何を感じているのか得体の分からない妖精ではなく、幸せそうな妖精たち。そして、ソリストの踊りもそれぞれ良かった。その妖精の幸せそうな雰囲気を代表していたのがパリ・オペラ座のヤン・サイズをパートナーに踊った藤川雅子。ワルツを踊ったのは光永百花、手脚の長いとても良い条件を持ったダンサー、まだ若いのか堅さを感じる部分もあったが、これからが大いに期待できる。プレリュードはベテランの文美華が丁寧に心を込めて踊った。

osaka1409a_9192.jpg 『時の踊り』撮影:瀬戸秀美

続いての『時の踊り』は、オペラ『ジョコンダ』の幕間挿入作品を、プティパが古典バレエの技法で一日の時の流れを表した作品にしたもの。ナタリア・ボスクレシェンスカヤ、安達哲治が再振付しての上演。夜の女王を踊った小寺彩耶子は香りを持ったダンサー、パートナーである三日月を踊った西岡憲吾は、この団体から巣立ち、現在、セルビア国立バレエ団に在籍するダンサー、以前よりノーブルな雰囲気が現れてきたと思う。
そして次には、ヤン・サイズ振付の『タイス』。光永百花とヤン・サイズのパ・ド・ドゥ。フランスのバレエらしい滑らかなやさしい動きが良かった。光永は、『レ・シルフィード』でも良かったが、良い身体の条件で、まだまだ伸びしろがあると思え、将来が益々楽しみになった。
実力ある女性ダンサー、吉岡ちとせ、藤川雅子、杉浦ひとみ、高橋瑤子、西尾優実花、尾茂弥菜緒の6人で踊ったのは、矢上恵子振付のコンテンポラリー・ダンス『ラソ 〜絆〜』。元気に飛び跳ねる女の子たちが、乗り越えるべきものの前でもがき、悩み、お互いの絆を認識し合う。
ラストは、パリ・オペラ座で受け継がれているヴァージョンを知る指導者を招いて上演された『卒業舞踏会』。ある意味、シンプルな演出で、その分、とてもヨーロッパ的(フランス的?)な笑いを共有できるような。とても楽しんで観た。美しい福谷葉子が老けメイクで、お目付役の先生をヤン・サイズ扮する将軍をパートナーに踊ったのも印象的。フェッテ競争(尾茂弥菜緒、小寺彩那子)も関西らしく高度で、ラ・シルフィードの戸越莉里花とジェームズの楊在恒が丁寧に踊っていたのが好感がもてたし、若い女生徒の前野詩織、第一士官候補生の吉田旭、三つ編み女生徒の中西咲歩も熱演だった。
(2014年8月10日 京都府長岡京記念文化会館)

osaka1409a_7536.jpg 『卒業舞踏会』撮影:瀬戸秀美 osaka1409a_7472.jpg 『卒業舞踏会』撮影:瀬戸秀美
osaka1409a_7143.jpg 『卒業舞踏会』撮影:瀬戸秀美 osaka1409a_6890.jpg 『ラソ 〜絆〜』撮影:瀬戸秀美
osaka1409a_6795.jpg 『タイス』撮影:瀬戸秀美 osaka1409a_6743.jpg 『時の踊り』撮影:瀬戸秀美
DSA_6437.jpg 『レ・シルフィード』撮影:瀬戸秀美