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すずな あつこ text by Atsuko Suzuna 
[2013.10.10]
From Osaka -大阪-

早い時期から取り組んだシューベルトの『冬の旅』の優れた舞台

今岡頌子・加藤きよ子ダンススペース「STAGE 渦」
『冬の旅』加藤きよ子:構成・振付(8章=冨川亜希子、20章=河邉こずえ)ほか

今岡頌子・加藤きよ子ダンススペースの公演「STAGE 渦」を観た。各コンクール受賞者の小作品を上演する「DANCE COLLECTION」に続いて上演されたメイン作品は『冬の旅』。フランツ・シューベルトの曲に振付けられ、若い男性の苦悩の旅を描く『冬の旅』、ノイマイヤー作品や、最近では同じ兵庫県出身でドイツで活躍する森優貴振付作品で印象に残っている方が多いかもしれない。

osaka1310c_1500.jpg 撮影:田中 聡(テス大阪)

この演目、ノイマイヤー作品の初演が2001年、森作品初演は2010年だが、この団体(今岡頌子舞踊団)の公演としては、1974年が初演。そんなに昔からこんなに苦悩を伴った大人の作品にこの団体は取り組んでいたのだと驚嘆した。プログラムによると、初演は神戸文化中ホールで、今岡や加藤の他に溝下司朗などが出演者として記されている。その後、1992年、2002年に続き、今回が4回目の上演。少しずつ改訂しながら上演されており、今回初めて家族のシーンに子役を出すなどした。
舞台上での、テノールの松原友とピアノの甲斐洋平による生の音楽に乗って進む舞台。生の人間の声と、生の人間の踊りがそばにあるというのは、とても良いものだなと思った。ピアノも人間が奏でているわけだが、人間の想いを視覚と聴覚両方で、空気感をともなって感じられる。休憩を挟んで24章に渡って踊られるダンスは場面変化に富んでいて、飽きさせず引き込む。群舞が作り出す形が美しく洗練されていて、それぞれのシーンを効果的に彩った。
主役と言える若い苦悩する男性を踊ったのは川口励。静かに自然に難しい役をよくこなしていた。これからが楽しみなダンサーだ。他に、ふしぎな老人役の男性のギラギラとした眼や演技力が眼を引いたとともに、女性ダンサーを含めて、よく踊れ、表現できる人が多いように見えた。これからもぜひ、人間の根源的なものに切り込むような作品に挑戦してほしい団体だとつくづく思う。
(2013年9月8日、兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール)

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(全て)『冬の旅』撮影:田中 聡(テス大阪)