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すずな あつこ text by Atsuko Suzuna 
[2013.08.12]
From Osaka -大阪-

中野吉章、涌田美紀、浅田良和、室尾由紀子、法村圭緒などがピッツバーグバレエと競演

エリート・バレエ・スタジオ
『Articulation』『The hours』中野吉章:振付、『La et La』玄玲奈:振付、他

今年7月の北京国際バレエコンクールで金賞を受賞した中野吉章は、アメリカのピッツバーグバレエシアターで活躍するダンサー。今回、彼の母・中野光子が主宰するエリート・バレエ・スタジオの主催で、実力あるバレエ・ダンサーたちが集うバレエ・コンサートが初めて行われた。日本で活躍するダンサーだけでなく、ピッツバーグの同僚ダンサーたちも出場しての国際的な舞台になっていた。
幕開けは、とても自然なバレエのレッスン・スタジオの光景。ストレッチをする人、気になる踊りの一節を稽古する人、サポートの練習するカップルなどなど。先生・中野光子も入って、いろいろな人との再会をハグしながら喜んだり……数日前のエリート・バレエスタジオの光景そのものなのかもしれない、などと思いながら観た。続いてジュニアたちのレッスン風景が披露されたが、基礎がよく入っている子が多かった。

osaka1308a_5724.jpg 『嘆きのエスメラルダ』撮影/高田真
 

その後、さまざまなグラン・パ・ド・ドゥや創作作品が続いた。どれもそれぞれの魅力があったのだが、特に印象に残ったものを挙げよう。まず、昨年、ヴァルナで銀メダルに輝きサンホセ・バレエで活躍していた涌田美紀と、昨年Kカンパニーを退団した浅田良和による『グラン・パ・クラシック』よりグラン・パ・ド・ドゥ。涌田の眼に妖艶なものを含んだ強さ、伸ばした手脚から抜けるような色気が見え、大人の魅力が増したことを実感。浅田はとにかく甲が美しい、コーダのブリゼには特に眼を奪われた。また、室尾由紀子と法村圭緒が中心を踊った『嘆きのエスメラルダ』も素晴らしかった。室尾は物語に完全に入り込んで、エスメラルダの気持ちのなかで踊っているように見え、観ていてゾクゾクとした。法村も毅然とした態度で残酷な部分を持ったこの役をよく表現していた。
中野吉章の振付2作品も興味深かった。市橋万樹、竹内俊貴、三浦丈明、3人の男性が踊った『Articulation』は、男性の力強さを活かした踊りで迫力を感じたし、Gabrielle Thurlow,Olivia Kelly, Alejandro Diaz,中野吉章とピッツバーグの4人のダンサーが踊った『The hours』は、女性はトゥシューズで、バレエの美しいラインの魅力を実感させるアブストラクト作品だった。他に創作で、玄玲奈振付の『La et La』もとても印象に残った。踊った中村美佳、玄玲奈、中田一史、3人のダンサーの表現のレベルも高く、引き込まれて、優しい気持ちになれるラスト、好感が持てる作品だった。
また、Gabrielle Thurlowと 中野吉章が踊った『ドン・キホーテ』よりグラン・パ・ド・ドゥはバレエの高度なテクニックが楽しめた。中野はキレのある動きができるダンサー、トゥールの形もとても美しい、それに加え、素直で飾らずという彼の性格と思えるものが踊りにも現れているような気がした。
ラストは中野光子、中野吉章とSecond Stageの振付による『Bolero』。光子の友人である関西のバレエの先生方・ベテランの女性たちによる大人の香りのパートと、現役バリバリのダンサーたちによるパート。ピッツバーグのダンサーたちも出演したが、昔、たまに見かけたゲストで海外からお呼びして・・・といった雰囲気ではなく、彼らは今、同じプロダンサーの立場で踊っている仲間なのだということを実感する仕上がり。そんななかで特に“華”を感じたのは室尾由紀子、水を得た魚のように伸び伸びしている、と感じた。
(2013年6月16日 堺市民会館 大ホール)

osaka1308a_5409.jpg 『Articulation』 osaka1308a_6102.jpg 『La et La』
osaka1308a_5842.jpg 『春の水』 osaka1308a_5559.jpg 『グラン・パ・クラシック』
osaka1308a_8525.jpg 『ボレロ』 osaka1308a_5986.jpg 『ドン・キホーテ』
撮影/高田真(すべて)