ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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すずな あつこ text by Atsuko Suzuna 
[2013.05.10]
From Osaka -大阪-

田中幹子と三木雄馬が踊ったカンパニーでこぼこ『リーズの結婚』

カンパニーでこぼこ
演出・振付:脇塚力『リーズの結婚』

脇塚力が率いるカンパニーでこぼこは、関西のダンサーが所属を越えて集まるバレエカンパニー。今回11回目の公演となるが、毎回、作品の本質は崩さずにいながら、さまざまな演出や演技の工夫で楽しませてくれるところだ。そういう工夫のなかでも、ほぼいつも得意としているように見えるのは、“現代の日本の身近な人間にもこういうところがあるよなぁ”と思わせてくれるところ。まるで小劇場演劇のような親しみやすいしぐさで、バレエを始めて観る現代人も違和感なく舞台に惹きつける。そんな彼らが今回取り組んだのは『リーズの結婚(ラ・フィーユ・マル・ガルデ)』。王侯貴族ではなく、庶民の日常を描いたこの作品は、彼らにピッタリで、「そうそう、こういうことあるある!」という舞台に仕上がっていた。

osaka1305a_0240.jpg 撮影:田中聡(テス大阪)

リーズ&コーラスは、田中幹子と三木雄馬。田中はハッキリした印象の踊りでちょっとお転婆な魅力を持ったリーズという感じ、三木は少年ぽいチャーミングな雰囲気と爽やかさをともに感じさせて、パも美しく良かった。リーズの母シモーヌは、郷原信裕、堂々とした演技で迫力もあり、私がこれまで彼を観た舞台のなかで一番良かったと思う。また、お金持ちアランの父トーマスがデイビット・デ・ピューリーで、郷原ともに長身、リーズやコーラスをはじめとした若者たちを“まだまだ父母の影響を避けきれない子ども”といったイメージに視覚的にもしているように見え、それも良かったのではないだろうか。
また、演出の脇塚自身が踊ったアランが印象に残った。お金持ちの変なやつというよりは、オドオドとしたいじめられっ子という感じで、なんだか応援したくなるようなキャラクター。リーズとコーラスが結ばれて失恋した後のラストで、こそーっとリーズの家に忍び込んで、ドタバタ騒ぎで忘れていった自分のお気に入りの傘を取るという場面は、「アラン、可愛い!」と叫びたくなった。
これからも、独自の工夫を凝らした舞台に期待したい。
(2013年4月7日 いたみホール)

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osaka1305a_0633.jpg (全て)撮影:田中聡(テス大阪)