ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

From Osaka Nagoya <大阪・名古屋>: 最新の記事

From Osaka Nagoya <大阪・名古屋>: 月別アーカイブ

すずな あつこ text by Atsuko Suzuna 
[2013.03.11]
From Osaka -大阪-

ベートーベンによる藤田佳代の『探す』ほかモダンダンス公演「創作実験劇場」

藤田佳代舞踊研究所
『探す』振付:藤田佳代、他

初めてダンスを創作するという中学生2人(稲益夢子と菊原麻衣花)の可愛らしい作品から、代表の藤田佳代の作品まで、すべて作者の違う10作品が上演された創作実験劇場。それぞれ力作だったが、特に印象に残った作品をいくつか挙げさせていただく。
まず、“自分”というのもとしっかりと向き合った、かじのり子の作品『わたしー私はわたしをさがす 遠く 近く もっと近く─』。踊りの場面構成もしっかりしていて、その真摯な向き合い方が素直に観る者に伝わってきた。また、灰谷留理子が自作自演で踊った『徒桜』は、女性の暗の部分も含めた情熱をしっかり見せて印象的。

osaka1303c_310399.jpg 撮影:中野良彦

後半では、木のベンチを使った向井華奈子の自作自演『私の記憶を探しています』。鋭角的でスピード感や迫力のある動きが目を引き、同時にドラマを感じさせた。それに、やはり“自分”と向き合った菊本千永の『わたしのpieceたち』も記号的?と感じられる動きが面白かったし、また、谷岡亮の『 LOST』も男性らしい大きな動きで力強さを見せた。まだまだ荒削りな面もあったが、これからに期待したい。
そして、ラストは藤田佳代がベートーベンの曲に乗せて作り上げた『探す』。1.「落ち葉を」、2.「波しぶきを」、3.「旅だった人たちの面差しを」、と3つのタイプの違う群舞からなる三部作。「落ち葉を」で感じさせる“秋”が、人生の秋と重なり、やはり人が生きるということ、世の中と深く向き合ったと感じさせる作品。
師がそうであるからなのだろう。ここに挙げた中堅から上と思われる作者たちの作品は、どれも生や死、人生といったものとまっすぐに向き合っていた。それでいて、似通ってしまうのではなく、それぞれが個性を持って、独自の表現方法で作品を創っていた。クラシックも含めたダンスの舞台をいろいろと観ていると、技だけで踊っているのかと思えるものにもたまに出会う、技も大切な要素なのだが、作り手が、また踊り手が、何を表現したいのかが見えるものでないと心には響かない。今回の舞台は、それぞれが、表現したいものをきちんと表そうとしていることが感じられた。
(2013年2月16日 東灘区民センター うらはホール)

osaka1303c_310286.jpg osaka1303c_310516.jpg osaka1303c_310649.jpg
osaka1303c_210178.jpg osaka1303c_210331.jpg
osaka1303c_210534.jpg osaka1303c_210672.jpg
osaka1303c_211027.jpg 撮影:中野良彦(すべて)