ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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すずな あつこ text by Atsuko Suzuna 
[2013.02.12]
From Osaka -大阪-

動きの多様さと迫力が感じられた、中田一史主宰のGENESIS ART COMPANY第4回公演

GENESIS ART COMPANY
中田一史、植木明日香、堤悠輔:振付

貞松・浜田バレエ出身でミラノ・スカラ座バレエ学校に留学、マリシア・ハイデに見いだされて、チリ・サンティアゴ市立歌劇場バレエでスジェとして活躍し、ハイデとリチャード・クラガン指導の下で、ジョン・クランコ振付『じゃじゃ馬馴らし』のオルテンシオーや『ロミオとジュリエット』のベンボーリオ、マクミランやベジャールなどの作品も踊った経験を持つ中田一史。2007年からは日本に戻り、関西を拠点に活躍している。その彼が自ら主宰するのがGENESIS ART COMPANYで、今回、4回目の公演になるのだという。

osaka1302e_061.jpg 撮影:小川憲一(studio egoiste )

上演されたのは5作品で、いずれも出演したメンバーの振付。幕開けは植木明日香振付、植木自身と石井千春とで踊った『other side』。帽子とロープを使った女性2人のダンス、ラスト、混乱から解き放たれたような表情が印象に残った。
2つ目は堤悠輔振付の『Simmering Cells』、作春の貞松・浜田バレエ団公演「ラ・プリマヴェラ」で堤を含む貞松・浜田バレエのダンサーによって踊られた作品だ。今回は室尾由紀子、黒田朋子、蔦田夏美、笹原和哉の4人が踊った。踊る細胞をイメージしたこの作品、身体にぴったりとした衣装で踊るダンサーたちは蠢く原初の生き物のようで、動きそのもに面白さがある。
3つ目は、植木明日香、蒲田直美、蔦田夏美の女性3人が踊った『condensation─縮合─』(振付:中田一史)。人形を思わせる黒髪の少女と、その少女よりいくらか大人である女性2人の関わりの形を描いているのだろうか。その作品とクロスフェードするように始まった4つ目は、中田一史、堤悠輔が2人で振付し、2人で踊った『rearrengement─転位─』。さすがに2人とも実力のあるダンサーだから、まず登場しての動きそのもの、身体そのものに意味が感じられるような気がする。男性2人の柔らかみを持った動きにせつなさや脱力感を感じていると、次第に踊りは激しいアクティブなものになっていった。殺し、殺されて、その立場が逆転し・・・と、深い想いを持ち合うからこそ与える死とでも言うのだろうか。感覚に直接訴えかけるようなダンス。
そしてラストは、中田の振付で、中田と室尾由紀子が踊った『annelation─環化─』。スクリーンに映し出された映像の前で踊られた作品。男女の壮絶な姿──青年の残酷さを持った屈折した笑いとでも言えば良いのか──中田の表情、ダンスは独特で、また、室尾も心の奥底からの想いを身体全体で表すような観客の心を揺さぶるダンス。動きの多様さと迫力、そして、どんなに混乱したことを表す動きでも、そこに目に焼き付くような研ぎ澄まされたものが含まれているように見えるのは、2人ともがクラシック・バレエで高い技術を身につけているからこそ可能なことなのだろう。ラストは二人が穏やかに過ごす姿。救われるような気持ちになって、劇場を後にできる気がした。
私が、彼らの表現したかったことを全て受け取ったとは思わないが、理屈では分からない、ダンスだからこそ表すことのできる心に響くものを見せることのできるカンパニーだと感じた。これからの更なる活躍に期待したい。
(2012年12月1日 神戸アートビレッジセンター)

osaka1302e_088.jpg 撮影:小川憲一(studio egoiste ) osaka1302e_207.jpg 撮影:小川憲一(studio egoiste )
osaka1302e_5691.jpg 撮影:小川憲一(studio egoiste ) osaka1302e_315.jpg 撮影:小川憲一(studio egoiste )
osaka1302e_491.jpg 撮影:小川憲一(studio egoiste ) osaka1302e6550.jpg 撮影:小川憲一(studio egoiste )