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すずな あつこ text by Atsuko Suzuna 
[2012.02.10]
From Osaka -大阪-

深川秀夫振付家歴30周年記念作品『新・シンデレラ物語』

演出・振付:深川秀夫『新・シンデレラ物語』
宮下靖子バレエ団
osaka1202c02.jpg 撮影:岡村昌夫(テス大阪)

深川秀夫振付家歴30年記念と銘打たれたこの公演。宮下靖子バレエ団は深川振付の『シンデレラ物語』を以前にも上演したことがあるが、基本的な物語は変わらないものの、意欲的な改訂が随所に施されての上演だった。

今回注目すべきことはいろいろあるが、まず王子役をこのバレエ団で育った若手ダンサー・吉田旭が務めたことが挙げられるだろう。これまでのこのバレエ団の全幕公演は、女性主役は所属ダンサーが踊るものの男性主役はゲストを呼んで、という形だった。それを今回初めて、所属ダンサーが務めたことになる。最近、他のバレエ団公演のゲストとしても度々見かけるようになった吉田は、観るたびに成長しているように感じられる伸び盛り。今回、彼独特の優しい表情に、王子としての存在感や“華”が加わり、爽やかに主役を踊るダンサーとしてのスタートを切ったように見えた。

osaka1202c03.jpg 撮影:岡村昌夫(テス大阪)

また、伸び盛りと言えば、もう1人。仙女を踊った井澤照予もとても良かった。実は、前回観たこのバレエ団の『シンデレラ物語』で、冬の精のダンサーがとても繊細な魅力を見せ、良かったことを覚えているのだが、それが彼女だったのだ。今回、仙女として登場した瞬間から、キラキラとした輝きが内側から溢れるようで、この世のものではない存在としての魅力を感じさせてくれた。吉田とともに、彼女もさまざまな舞台で観ることが増えてきており、これからの成長がとても楽しみなダンサーだ。
そしてタイトル・ロールのシンデレラは、もう何度も主役を踊っているこのバレエ団のプリマ・石田絢子。きちんとした基礎に基づいたしっかりとしたテクニックに、ていねいで自然な演技。ラストの喜びが広がるような表情は、こちらまで幸せにしてくれるようだった。
ソリストも充実。継母(やすなみずほ)、義姉(有家和代)、義妹(大塚馨)の演技はさすがの迫力。仕立て屋さんの中田一史は、美しい動きでノーブルな雰囲気も感じさせて目を引いた。四季の精のソリスト(春の精:疋田磨野、夏の精:永田紗矢佳、秋の精:伊東葵、冬の精:木村菜穂)も、難易度の高いテクニックが入った振付をそれぞれの魅力で楽しませてくれ、バレエ団全体のレベルが年々上がっていることを感じさせた。
1幕の時計の精を廃して、仙女や妖精とシンデレラの関係を際だたせたり、美しい照明を駆使した雲海のようなシーンを入れるなど、全体にとてもドラマティックな仕上がりでうっとりと楽しむことができる舞台だった。
(2011年12月23日 京都会館第1ホール)

osaka1202c10.jpg 撮影:岡村昌夫(テス大阪) osaka1202c14.jpg 撮影:岡村昌夫(テス大阪)
osaka1202c16.jpg 撮影:岡村昌夫(テス大阪) osaka1202c17.jpg 撮影:岡村昌夫(テス大阪)
osaka1202c18.jpg 撮影:岡村昌夫(テス大阪) osaka1202c20.jpg 撮影:岡村昌夫(テス大阪)